明烏夢恋唄
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明烏夢恋唄

朔ヒロ

壮大な世界観を余すことなく体現できる画力

ネタバレ
2022年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作のみ全6話+描き下ろしで合計221ページ。不器用なリーマン・暁人×囚われの男娼・翠蓮のお話です。サラリーマンの暁人が公園で助けた妖怪・豆腐小僧にもらった札は、妖怪専門の遊郭かすみ楼で使える割符で、そこで絡まれていた烏天狗の翠蓮を助けるために割符を使うことになって…というストーリー。池に浮かぶ遊郭や魑魅魍魎、翠蓮の過去やその力など、すごい手の込んだ世界観でびっくり!しかもそれを余すことなく体現できる画力もすごい!明け方は夢の終わりでもあるけど一日の始まりでもある。色んな人に裏切られて少し自暴自棄ぎみになっていた暁人ですが、腐ることなくそういう風に考えることができたのは翠蓮と出会ったお陰なのかな。全然境遇が違う二人なので、「普通」の定義が違うのも当たり前なんですが、それでも命を捧げたいと思えるほど恋い焦がれる。二人のお互いを思いやる気持ちにギュンギュンきました。最後翠蓮は男娼ではなくなりましたが、それでも人間と妖怪という種の違いは存在したままです。普通のお付き合いというのは出来ないだろうけど、これからどうするんだろう?二人の幸せがなるべく長く続くといいな。
同じかすみ楼のお話で「羅城恋月夜」の方も機を見て読んでみたいと思います。
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