このレビューはネタバレを含みます▼
セールで作者さん買いです。昭和23年、終戦後の銀座を舞台に、勘当された呉服屋の息子・鷹彦×鷹彦の幼馴染で通訳者の葵のお話で、表題作のみ全6話で212ページ。初出は2014年と少し前の作品ですが、さすがウノハナ先生、ずっと色褪せない魅力があります。最近発売された新刊とか、代表作のバンドもの、ボクシングものとか、もう引き出しの多さに脱帽なんですが、絵柄とかセリフ回しとかがそれぞれの作品背景にすごい合っていて、この作品はまさしく昭和ロマン譚。レトロでノスタルジックな雰囲気が作品全体から漂ってます。キャラクターもそうなんですが、ちょっと亭主関白っぽい鷹彦と一途で健気な葵が、すごい昭和っぽい笑。なぜ葵は女遊びが激しい鷹彦を好きになったのか?なぜ音沙汰がなかったのにフラっと戻ってきた鷹彦を葵は許せるのか?鷹彦は真っ直ぐで求心力がすごいし、葵は一途で健気。多分現実に鷹彦みたいなこんな男がいたら最悪なんでしょうけど(笑)、「俺様キャラ」とは少し違う、ちょっと強引で亭主関白な鷹彦が葵にだけ見せる姿が良かった。鷹彦が精神的に優位に立っているように見えて、葵と対等なのも良かったです。