このレビューはネタバレを含みます▼
読み終えてしばらく動けませんでした。主人公の幸紀を抱き締めたい気持ちです。読み始めた頃は、ガラが悪くて幸薄そうで不潔そうな三十路男〜って思っていただけなのに。試し読みでの印象を良い意味で大きく裏切ってくれた作品でした。私にとっては深くて温かい、涙が出るような尊さと優しさに溢れた愛のお話でした。お互いが愛を知り、満たし満たされ、救い救われる存在へ。何とも言えない温かさに包まれ、こういう作品に出会えたことに心から幸せを感じました。(あぁ、年末に奮発して2万ポイント購入してよかった!!)死んでいるように生きていた主人公の幸紀は悔やんでしまう過去があり、心の底では自分を責め続け、苦しんで、自分には生きている価値などないと思っている人間。こんな主人公の心情に自分を少し重ねながら読みました。特に好きな場面は、自死した息子について語る仕事仲間に向かってつぶやく言葉 です。 せめて責めずに、苦しんだ分愛してやりたいですね ー こんな言葉、出てきますか?ここまでの優しい言葉、愛に溢れる言葉を今まで私は耳にしたことはありません。。。身近に同じ運命を辿った高校生がいて、痛みを感じる事が多い中、この言葉は私にとてもとても優しく温かく響いてきました。幸紀にとっては、天使、そして自分への言葉でもあったのですよね。自分を責めるかわりに自分で自分を抱きしめてあげることができれば、幸せに近づいているんだと思います。これからも何度も読み返したくなる大事な大事な1冊になりました。一人でも多くの人がこの作品を読む幸運に恵まれますように!