叛獄の王子
」のレビュー

叛獄の王子

C・S・パキャット/冬斗亜紀/倉花千夏

謀略につぐ謀略、その先にあるカタルシス

2023年3月6日
なかなかに骨太の架空戦記、読むのに時間かかります。ゾロゾロ出てくる似たようなキャラ達の名前メモしながら読みましたw

主人公デイメンが王子の身分を隠したまま奴隷に身を落とすとこから始まるので、主人公にたちまち尻穴の危機が迫ります。えっデイメン攻めやんね?ハラハラ。
このデイメンが、強くて愚直で良い男なんですが「メロスには政治がわからぬ」みたいな感じで、邪悪には敏感だが駆け引きや謀略にまったく太刀打ちできない。ツライ。俺は生き延びるためにどんなことにも耐えてみせる…つったはしから秒でブチ切れてて、全然我慢できとらん。人間臭くてたいへん可愛い。
対する敵国王子ローレントは美しい顔で息をするように人を陥れる。頑張って1巻必死で読んでも2人の間には甘さゼロです。見た目はデイメンの好みど真ん中だというのに、この美人、触ったら死ぬ。比喩じゃなく。
2巻も緊張が続きます。2人の距離が近付いたぶん、秘密の暴露や裏切りへの恐怖が増す。
3巻ともなると、だんだん、これもまたひっくり返されるんやろ?と読者に耐性がついてくる。読者もデイメンも立派に鍛えられた(笑)
ローレントの中に少しでもデイメンへの真心はあるのか?デイメンは最後には謀略に打ち勝つ力を得るのか?祈るように読みます。

長めのおあずけに耐えられる方、お勧めします。空腹(ツン)の合間にたまに供されるご馳走(デレ)は格別の味ですよ…。

1巻275ページ、2巻344ページ、3巻310ページ。
(外伝「夏の離宮」もあります!外伝は149ページで900ptだけど、本編気に入ったならぜひ読んで欲しい。4話入ってて、本編の激辛風味に比べると、甘さと楽しさが多いし、2話の赤毛の色子アンケルの話が超素敵です)
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