イキガミとドナー 二人のイキガミ
」のレビュー

イキガミとドナー 二人のイキガミ

山中ヒコ

この人に一番、感情移入してしまう

ネタバレ
2023年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作のイキガミとドナーの世界観がめちゃくちゃ好きで、待望の上下巻がもう嬉しすぎる♡
今回、気になっていた柴田のスピンオフ編ということで……またまた、心が震えまくりの読後感。

やはり、イキガミとドナーという設定が素晴らしくて、最高♡
前作からですが、柴田という存在がストーリーに、より深みと哀しみを与えていることは間違いなく、私はこの人の気持ちを考えると辛くいたたまれなくなるのです。

かつて柴田はイキガミのドナーであり、確かにそのイキガミ春人と愛し合っていた。
その過去編が読めて、僥倖の極みでした……!
し、柴田たぁ……ううお前って奴はっっ
言いたかった、言ってあげれば良かった。
守りたかった、でも守れなかった。
自分は愛されているから、守られてしまった。
愛する春人が、自分のためにそれを選んだ一一一

……あ一一一しんどっっ!
愛するって、愛されるってどうしてこんなに尊く重いのか……春人の選択は、とても尊く美しいけれど、それが自分の為だったのかと思うと、途端に自分のせいでに変換されてしまうやり切れなさ。
春人の柴田への最大の愛も、政府にとっては自国を有利にするための一つの有益な駒である事実。
嫌んなっちゃう……のに、逃げずに静かに闘う柴田に胸熱くなるばかり。その頑張りが、沢山の人の為になったのが本当に救い。

イキガミとドナーは、自分とは無関係ではない世界。関わってしまえば、老若男女それぞれに選択を迫られるし、その影響力は身の回りにも派生していく。人生を狂わされる人ももちろん出てくるし、それだけの事を国をあげてやっている現実。
やはり、この世界観の説得力が素晴らしくて、もう圧巻でしたね……!

柴田を愛する2人のイキガミ、BL面でもこれ以上ない読み応えでした。
おい、表紙一一ッ!泣かせに来るなて。
柴田にどうしても肩入れしてしまう私ですが、
滝の『あいつ、マジで一一一!!』には、
めちゃくちゃ共感して大爆笑によって腹よじ切れたッッ
不憫な滝の人間味が面白すぎた。やめてwww

エピローグの送り火は、
柴田と春人カップルの壮絶な最期への救いのお話になっていて、切ないやらもう感情が言語化できん。
滝と柴田と春人の3人が毎年不思議に集まってたら、それはそれでステキだなと思いました。
あのときの痛みは絶対忘れられないけど、少し浄化されていく春人と柴田の想いに触れた気がします。
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