憂鬱な朝
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憂鬱な朝

日高ショーコ

絶対に避けては通れないBL界の超代表作

2023年3月31日
言わずと知れた日高ショーコを語る時に絶対に外せない代表作。
私自身にとってもBLを語る時には外すことのできないBL全体を代表する超名作です。
明治時代っぽい華族社会を描いた時代浪漫作品で、華麗にして重厚な世界観はロマンチックでありながら渦巻く謀略と気の抜けない駆け引きで中々な読み応えです。
幼くして子爵を襲爵した暁人。
家令という難しい役職の桂木。
共にバックボーンは複雑でありながら明朗な暁人と厄介な桂木。暁人はまさに絵に描いたような成長物語の主人公キャラなのに対し、桂木は停滞と退行の果てにやっと自分自身の歩き方を見出すという何とも解りにくい男だと感じました。
主人公を暁人だけにせず桂木も主に置くことで「本当に面白い!」と感動したのだと思います。
桂木は厄介で面倒くさいです。日高ショーコ作品の数ある面倒くさいキャラの中でもピカイチ、むしろ最終形態では?と思うくらいの面倒くささです。なのにカワイイし愛しいし夢中になってしまうのは先生方の愛と上手さなの為せる技なのかな?と感嘆しきりです。
この桂木の出自の謎がストーリー的に効果的に描かれていて、更に桂木自身のミステリアスさを醸していると感じました。
壮大で複雑なお話なので、5巻あたりでBLとしてはちょっともたつきを感じました。しかし作品として重要な転換点なので初読時に目を皿のようにして一字一句、一コマ一コマ読んだのを覚えています。
≫≫≫
この時代に設定して下さってありがとう!と思ったBL的ニッチな所があります。
それは洋装の下に履く下履き。フロックコートの一番下がフンドシ……このたまらん感じ、わかって頂けるでしょうか?(しかもコレクションブックには桂木が褌を身に付ける最中が描かれていて身悶え致しましたとも!)
自分が育てた子どもと恋愛するというのも、光源氏と若紫か!?イヤそれより歳が離れているよね?という萌えポイントです。
怜悧で完璧な桂木が手段の為に男女問わず相手をする設定も何気にポイント高いです。
壮大な一大時代浪漫劇なのにちゃんと腐女子の萌えを突いてくださるトコ本当に好きです。
憂鬱で陰湿な始まりだったのに最終話の明るくキラキラした宝物のような未来を感じさせるエンディングも実にお見事です。
ただただ、はぁ〜、読んだ!読んだわ〜!と実感できる超大作、BLを読むなら絶対に避けては通れない超名作だと心から思います。
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