東京-臨界点-
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東京-臨界点-

ハル

美しさの上での確実な感動

2023年7月9日
「4月の東京は…」「東京ー四季ー」ではとても気持ち良く泣かされました。徐々に感情を昂ぶらされ、必ず来るであろう幸せの瞬間にバッチリと焦点を合わされて泣けた!と。それがどんなに気持ちが良い事か!と。不遇で不幸で身が引き裂かれる苦しみの後の、スッキリとした幸福感を100%で受け止めることができたのです。
今作品も同様の神技にて感動しました。

ハル先生の作品の美しさは一種の数学に通じると感じています。
山あり谷ありのストーリーが、2人の接点、平行線、交差点を通過するごとに整えられていく美しさ。
感情の発露が解に向かって解き進められ帰結する美しさ。
それがすっきりとした無駄のないキャラ絵で表現されると、まるで結晶のように美しく輝いて見えるのです。様々な技法の持つチカラの整合の美とでも言いましょうか、素直に心に届く真っ直ぐさがあります。

もちろんそれだけで感動したのではありません。
境遇、設定、事件、事故などの話運びの妙、サブキャラたちの効果的な介入、その中でたったひとつだけの大切なことがクリアに浮き上がってきた時の喜び(と切なさ)等々、期待通りの面白さでした。

修正はHertZ&CRAFTさんなのでほぼ見えでした。

(((電子限定描き下ろしが本当に大サービスでして、できれば紙の特典も読みたいです!ぜひとも電子での配信をお待ちしています。シリーズ的にオチのついた大事なお話ではありますが、だからこそ本編に入れずに特典にしたことで本編ラストの感動を妨げていなかったと思います。)))
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