おすわり、よくできました【単行本版】
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おすわり、よくできました【単行本版】

三栖よこ

良き!!たくさんの良き!!

ネタバレ
2023年10月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2巻!すっごく良かったです!
もちろん1巻もタチ専同士・男前同士のDom/Sub設定が生かされた申し分のないお話だと思います。
キャラ良し作画良しセリフから読みやすいコマ割りまで、繊細なお仕事と齟齬のないストーリー展開、軽さと重さがバランスよく纏まった素晴らしい1巻です。
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突然ですが、自分の中で良作だと思う作品を大きく3つに分けている所がありまして、
(1)物語がとにかく面白い。
(2)その上で自らの内面に深く作用する。
(3)さらにリアルの世界での思想や出来事(経済や宗教や文化等々)を照らし合わせて広く考えさせられる。
→ (1)< (2)< (3)の順にすごい作品になるわけです。
もちろんコレに限ったわけではないのですが、オタク的にだいたいです汗。

今作の2巻は(3)に該当し、たくさんの感動をもらいました。
個人的な悩みを前面に出し取っ掛かりやすく共感させつつ、マイノリティが直面するであろう問題をドラマチックに描いています。
もしもジャ◯プ作品だったら、三方ふさがり絶体絶命のヒーローがどうやって立ち向かい勝利するのか!?みたいな展開です。
その解決策がスマートで感嘆しました。2人だけの問題にはせず、後に続く道を作ってしまう。「法」という解りやすい手法によって、第三者であるはずの世間を巻き込む形での解決です。モーゼの荒れ狂う海がパアァッとふたつに割れて進む道が明確になった時のような心持ちでした。現実の世界でもこんな風にズバッと解決できる道があるかも知れない。そう思わせてもらえてチカラが出てきました。
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BL的にもサービス満点です。身体と心の両方がたっぷりと描かれています。DomくんとSubくんの関係性が尊すぎてため息が出ました。
また、こうであろうと認識していたDom/Subの性質を大きく覆してきながら納得させられる面白さを感じました。Domの強さの意味とかサブスペースのあり方とかエモいです。
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1巻を読んだ時から、マイノリティだろうがマジョリティだろうが一人の人として何ら変わることはないんだ、というメッセージを(勝手に)受け取っていました。
2巻でもその平等性を感じつつ、さらに弱者側の強さやポジティブに進む明るさなど細やかな感動がいっぱいありました。
こんな盛りだくさんが一冊にまとまっている素晴らしさ!最高です。
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