魔物の晩餐
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魔物の晩餐

UMIN

究極のジレンマ

ネタバレ
2024年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 激しい飢えを人を喰らうことで解消している半竜が、食す為に赤子から育てた少年に恋をする。
ひどく食べたい、でも食べたら終わってしまう。
人喰いならではの葛藤なので感情移入は容易くないが、コレって究極だよね?と思い至り戦慄してしまう。
あれ待てよ?この心理的対立には見覚えがあるぞ?と思い出した。冨樫先生のレベルEの作中作、食人鬼編だ。愛する人を食べねばならない苦悩とオチの付け方がゾクゾクしたものだ。
さて、今作の良いところ。レベルE では描かれなかった食べられる側の視点が、食べる側と同じ分量で描かれているのだ。おかげで「愛」とは?の問いの一つの答えを見出せる。作品から問いと答えを得ることができる、素晴らしい作品だと思う。

名前がまた良い。赤白青とカラフルなのが、わざとバックを描き込まない絵柄に文字だけで映える。脇の名に桐を二つも置いたのは何か意図があるのだろうか?

読みホで7巻まで読める今作は8巻で物語の完結を迎えたわけだが(本編が5つ。番外編が3つ)、このあとイチャラブ編が刊行される予定とのこと。
読者サービスもバッチリな嬉しい作品だと思う。

あ、同人誌なので割高なのをご留意ください。
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