巣箱の王子様
」のレビュー

巣箱の王子様

秋平しろ

優しく感情を揺さぶる傑作です

ネタバレ
2024年4月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ めちゃくちゃ楽しみにしていた秋平しろ先生新刊。最高にハートウォーミングなお話で今本当に胸がいっぱいな気持ちでこれを書いています。

今作もしろ先生お得意のジェントルマン攻め。またジェントルマン攻め?と思っているそこの貴腐人。ジェントルマン攻めと言っても過去作と同じではありません。味が違います。カレーだって一口にカレーと言っても色んな種類ありますよね?
あれと同じです(笑)
今作の攻めも紳士でちょっと抜けてて可愛くて優しくて少し影があって美しくて。素材は過去作と似通っているのに全然違う不思議。
人間離れした職場の王子に密かに恋をして日々推し活に励む庶務課の青柳。
毎朝定時の1時間半前に出勤してエレベーターで偶然を装って浅桐に会う、それ以下でも以上でもなかったのにゲイバレしてから接触イベント発生です。

青柳と同じように浅桐にも秘密がありますが、下巻の描きおろしで浅桐の秘密の本当の意味を理解できる仕様になっているのが真の完結感があります。

青柳は自己肯定感が低いのに変にポジティブなんですよ。お金払って抱いてもらうのもゲイの自分はそうすることしか選択肢が無いと思ってるから割り切ってる。
自暴自棄になってるわけじゃないけどそれが当然になってるのが私はすごく辛かった。

だから浅桐に愛されて自分に対する価値観が変わったのが何より嬉しかったんです。
自分はいつでも替えがきく人間だと思ってたけどそうじゃなかったって。
真面目に働いていた青柳のことを同僚はちゃんと見てるんですよ。真面目に生きてる人は大多数ではなくてもちゃんと見てる人がいるんです。

最初は青柳の中では架空の王子様だった浅桐。人となりを知るうちに王子ではなく浅桐自身を好きになっていく気持ちなど、2人の恋する過程が丁寧に描かれた作品でした。人の愛情は諦めてた不可能を越えていきますね。全国民にオススメしたいです。クーポンや値下げ無しで買っても満足出来る2024年一押し作品です!!(大声)
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