雷神とリーマン
」のレビュー

雷神とリーマン

RENA

読後もずっと作品から抜け出せません

ネタバレ
2024年5月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ ギャグ要素満載なのに…

どんどんと人と神の流れる時の流れの差が無常すぎて涙なしでは読み終われないです。
人の心を持った神の孤独は計り知れないけれど、瞬き程の人の命の輝く瞬間で得たものはその上をいくんでしょう。
大村が、【雷遊が忘れることが出来た】時に言った、【忘れたあとに残るもの】は大村との時間のみ。
人間界に居続けたのも大村がいたからでした。
人の心がもてた雷遊、そのまま人間界で暮らす事も可能だったのに、【人として生きたい理由】は大村と生きる為のみで、桜の木が朽ちたあともずっと佇み続け、やっと消える事が出来た時、やっと雷遊の願いがかなったんだな、お疲れ様と思いました。
1劫もの年月1人で居続けた雷遊にとって、大村が亡くなってから自身が消えるまでの間、生まれ変わりを探す事もなく、大村との思い出を反芻し続けた期間が一番長く孤独でこたえたでしょう。
人の心を持ったが故の恐ろしく長い孤独。
大村もそれが心配だった事でしょう。
確実に置いていくとわかっている方も、確実に置いていかれるとわかっている方も両方つらい。

5巻以降は心して読み進めて下さい。
決して外では読まず、人に見られる心配のない状況で読んで下さい。
もう、ラストがどうなるか、予感しかしなくて、時の流れがわかる描写が続く時点から喉の奥が苦しくて苦しくてたまらなくなります。
前半が明るく楽しいギャグ状態の為、ギャップがヤバいです。

でも、ご都合主義できれいに大団円でやったねハッピー、となるより、本当に、命の重み、煌めきを感じます。

来世、人として生まれ変われる様に、とも思いますが、ご都合主義ではないこの作品だから、雷遊のこの先は【無】なのでしょうかね…。
桜の元でやっと消えられた雷遊を、大村が「やっとまた会えたね。お疲れ様」と出迎えていてくれたらな。
大村とずっと握り飯食べながら笑っていて欲しい、と思います。
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