恋も過ぎれば【電子限定描き下ろし付き】
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恋も過ぎれば【電子限定描き下ろし付き】

上田アキ

上質な男たちのコラボに心震える…

ネタバレ
2024年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作恋が満ちたら、のスピンオフの本作。前作も、菱本さんという上質ないけオジがもたらす穏やかな空気が大好きで仕方がなかったのですが、そこに違うタイプの上質な男たちが加わり、互いの人間関係が絡み合うことで作品世界がぐわーっと広がる感覚を覚え、読んでる間、心が震えてたまりませんでした…

前作で、伊勢くんと少し絡んで人たらしの菱本さんを嫉妬させた白川ことセイさん。
革職人で、異様にコミュニケーション能力が高くて、顔も良くって、無自覚に人をときめかせてしまう彼の天然人たらしぶりを、怪訝な顔で見ていた家具職人の蘇芳。職人同士、ではあるものの、扱う素材の違いのように、質実剛健タイプの蘇芳と、なめらかな革のように捉えどころのないように見えるセイが、違うタイプながらお互いを知るほど、離れがたくなり、愛おしくなっていく過程が丁寧に描かれています。上田先生、うまいなあと思うのは、初めは、年下の蘇芳視点で物語が始まり、前作でも思わせぶりな行動を取って、あの菱本さんに嫉妬という感情を味あわせたセイに翻弄される蘇芳の気持ちに、前作でのセイを思い起こさせ、その後、実はあのセイが器用そうなのに恋愛に不器用で、本当の恋をしたら、こんなに可愛くなっちゃうんだ~!と新鮮な気持ちでセイの素顔を見せてくれるところ。そして、最初はセイに翻弄されていた蘇芳に、今度はセイが翻弄されてる姿が、もうもう……。余裕ぶっていた人たらしの決して他人には見せない姿を拝める幸せ……。そして、2人だけで繰り広げられるエチシーンで見せる表情の官能さ。はぁはぁ、良すぎて息が荒くなっちゃう……。

そして、前作でセイが登場した、喫茶店や水族館のシーンでは、前作では分からなったセイがあのとき何を考えていたのか、が手に取るように分かり、ミステリアスに見えたセイの可愛さにニンマリ。
お仕事BLの側面もあって、お互いに相手の仕事に対する真摯な姿に惚れるのも、うなづくしかない。

そして、個人的に萌えたのが、同じ世界線ならではの人間関係の絡みがあって、あの人たらしのセイが菱本さんを嫉妬して蘇芳を独占しようとする姿。どこか既視感を覚えつつ、人たらしのやく嫉妬の旨味を今回も堪能しました✨
も一つ萌えたのが、攻と攻のコマと受と受のコマ。もう眼福で……。は~、恋っていいな~!269頁もあって読み応えバツグンです!
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