親愛なるジーンへ 2(特装版)
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親愛なるジーンへ 2(特装版)

吾妻香夜

帰りたい故郷

ネタバレ
2024年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絶対に読めよ!っていう信頼してる皆さんの声に後押しされて購入。アメリカ、しかも80年代と来てるので「……これは攻めか受けが同性愛見つかって瀕死で壮絶な扱いを受けるシーンが来るのか…??」と半ばビクビクしながら見ました。
今まさにブロークバック・山(検索避け)をもう一回見たいな…って思った。

元アーミッシュであるジーン…いや”元”アーミッシュというのも、読み終わってから改めて打つと不思議なカテゴライズというか。ジーンにとっての根本、遺伝子、生まれた魂に刻まれた故郷がアーミッシュという話で、取捨選択する民がアーミッシュであるならトレヴァーを「僕の神様」と具像化したのにも関わらず「何者かになるために」満足するまで堪能して別れたの、あまりにもアーミッシュすぎる。
だけれど、選んだ後は最期まで添い遂げるのもアーミッシュなんじゃなかろうか。
レビューを見て「ジーン=遺伝子」と知りなるほどね?!となったが、甥と姪、受け継がれたジーンはあまりにも強く自由で、他人から見た「親愛なるジーン」はまさに彼であり彼女だったんだと、読了後、凄く納得しました。

トレヴァーはジーンと別れてから恋人も作らず1人だったんだろうが、ジーンは多分、居たんだろうな…でも、故郷にあんなにも後悔も懐かしさも焦がれた男だもの、きっと誰かといても神であるトレヴァーを「一歩踏み出せばどうってこと…」とか躊躇いながら「お互いに納得して別れた」って言っちゃうあたり、いつも忘れられずに居たから長続きしなかったんじゃないかな…
それとも「成り行きまかせの若い頃とは…」って言葉があるから戒めてジーンも一人だったのかな。
書かれてないから解らない。けど解らないからこそ良い部分もあるよね。

トレヴァーとジーンの年の差、今と違って交流には時差が生じること、専門分野を学ぶということ、そして故郷を捨てたアーミッシュであること。
一歩踏み出せば、なんてことなかったって言ってるけど多分付き合ったままではジーンが言う「何者にはなれたかな…」にはなれなかったんじゃないかな。
迷いがある足かせは重荷にしかならないしね。

2人の最期がどんな関係だとしても、ジーンが生家ではなくNYCに帰ってきたってことは…トレヴァーの隣がジーンにとっての家族であり恋人であり第2の故郷って事なんだよね。幸せにな。
良い話でした感謝。
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