駈込み訴え(乙女の本棚)
」のレビュー

駈込み訴え(乙女の本棚)

太宰治/ホノジロトヲジ

文豪は読み返してなんぼ

ネタバレ
2024年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ロウワーさんの楽曲でこの作品を知った方も多いかと思います。
文豪入門としての乙女の本棚シリーズはどの巻も本当に素晴らしい。
改めて読み直す文豪作品、絵の力も相まって昔読んだ難しげな小説群とは別物に感じられます。(高瀬舟なんてもう震えましたよ)
『駆込み訴え』は太宰治が当時の妻に口述した作品と言われています。
淀みなく一気に蚕が糸を吐くように語られたと言うだけあって、最初から最後まで一気に「訴え」られるのはユダの「その方」への想い。
「美しい」その人への気持ちが二転三転していくドラマ。
結末はわかっているのにドキドキします。
太宰もすごいが絵師さまの押し上げも強い。この作品のギリギリの「美しさ」が「こんなふう」だと手に取るようにわかる。
40年以上太宰を読み続けていますが、こんなザワザワ感を太宰に感じたのは『皮膚と心』以来かも。
昔読んだことあるって方にこそ、どうぞ。
いいねしたユーザ6人
レビューをシェアしよう!