ハヴィラ戦記
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ハヴィラ戦記

みのすけ/町健次郎/西村奈美子

この美しく残酷な戦場で

2024年10月8日
ひ…ひえぇぇぇぇぇ……。
強烈なインパクトのある作品でした。

奄美群島。絶滅の危機に瀕した蝶人を保護するため、人間が管理している蝶人保護区が舞台。
そこでつがいのマイと暮らしている、心優しい蝶人・忍野の物語――。

優しいタッチの絵ですが、かなり厳しい世界観。
読んでいて一番きつかったのは、「つがい」というシステム。
絶滅危惧種の保護ではよくあることだけど、ぞっとするような制度にザワザワと胸騒ぎが止まらない…。

その無慈悲な世界が、読者に鋭く問いかける。
幸せとは?愛とは?自由とは?
エンターテイメントに徹しつつ、深いテーマに貫かれているのがすごい。

主人公の忍野君が、すごくいいやつです。
切ないほど優しいけれど、それ故にずっと色々なものと闘ってます。
どうか彼が報われますように――。

凄惨なシーンもありますが、タッチがふんわりしているので私は大丈夫でした。
魅力的なキャラ、怒涛のストーリー、美しく残酷な世界観…没入します。一度読み始めたら止まらない、抜群の面白さ。超おススメです
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