お狐様のお気に入り【コミックス版】
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お狐様のお気に入り【コミックス版】

茉白あさひな

ありがとう、幸せな気持ちになりました

ネタバレ
2024年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙のお狐様こと三珠(みたま)の美麗な表情、差し出している手に目いっぱいの笑顔を浮かべて手を伸ばす構図、光と影の当て方に、センスを感じて手にしたこちらの作品。最初から最後まで、作者様の圧倒的な画力に魅了されました。
表紙をめくると、表紙とは一転変わって、詩的なモノローグで紫煙をくゆらす暦(こよみ)のブラックな労働環境が描かれる中、何故か願い事を叶えにやってきた!と言って押しかけ女房を申し出る三珠。脳内で「なんで?」という思いが飛び交うものの、あまりにも三珠がビューリホーなもんだから、暦が拒めないのも大納得なんです。

ブラック社畜人生を送ってきた身として暦がとまどいつつも、三珠の思いに人間らしい感情を取り戻し、幸せに浸っていく様は読んでいても幸せで。
しかも、作者様の作画力が360度強いというか…三珠が驚きの七変化を遂げたり、デフォルメ画もかわいく、デフォルメ画もコマ毎に描き方が違ったり、しっぽも手が埋まりそうなほどのモフモフ描写が良かったり…と、作者様の持つ表現力の高さがいかんなく発揮されていて、もう読んでいるだけで幸せを感じる画力の高さが素晴らしくて。しかも、チビ絵の三珠のお尻がむちゃくちゃかわいくて、もうたまらんのです!

そんな幸せな気持ちにぐっと深みを持たせるのが、最終話で三珠視点で描かれる暦と出会う前から三珠が抱いてきた思いなんです。人間好きで、ずっと暦の幸せを祈り、暦と思いが通じるとも限らず、暦自身はそのことを知るよしもないのに…と、しみじみしたところで登場する先生のメッセージ。ジーンとしました。質の高い作品を作りながら、誰かの癒しになることを祈るその気持ちに。
このメッセージまで読んで、より一層幸せな気持ちになれました。あさひな先生、ありがとうございます。先生の思いの詰まった宝物のような作品、出会えて良かったです。
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