能美先輩の弁明
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能美先輩の弁明

大麦こあら

哲学を身近に感じられる

2024年12月4日
自堕落な大学生活を送る哲学科の先輩とイケメンでクソ真面目な後輩が恋をするお話。
こあら先生の作品はいつもテーマと内容に齟齬がないように、とても良く調べられているのを感じます。今回は哲学との調和ということで、少し小難しくなるかなと思いましたが、上手く溶け込ませていて流石だなと思いました。タイトルだけでなく、能美先輩や瑛人の考え方などに哲学的な表現や考え方などが含まれていたのですが、日本人にはソクラテスの無知の知などあまり馴染みがないので、知らなければ哲学的なことを感じることなく読めてしまうのが、分かりやすくした良さでもあり、哲学の存在を薄めてしまった残念さも含んでいたような気がしました。本編中にソクラテスの言葉などがもっと描かれていても良かったかなと思います。ただ、これだけ違和感なく現代にマッチさせた描き方は見事で、この作品を読んで哲学に興味を持ってくれる人がいるのではないかという期待感もあり、何にせよこあら先生あっぱれでした。
能美先輩と瑛人の恋愛はとてもガキくさく、やりとりが小学生男子のように子供っぽいですが、とにかくこの二人の感じが可愛かったです。もっともっと二人のいちゃいちゃが見たいと思っていたので、今から続編が楽しみです。
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