税務職員の美酒(うまざけ)
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税務職員の美酒(うまざけ)

新田祐克

良い匂いに酔いました😩

ネタバレ
2024年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ はぁ、酔いました。大正時代を生きた祖父母を思い出しながら読みました。朧げに、祖父の食事の時間は今の様に家族皆とではなく、子ども達女性の食事が終わった後、祖父が食べる時間というのがあったなと。また、台所で熱燗を準備している光景やその甘い匂いだけでポカポカしたなと。
きっかけがないとそんな事を思い出す事もなかったなと思いますが、この作品を読みながら幼少期を思い出しました。女性、男性の生き方に違いがあったなと。

大正時代、酒蔵の物語。先生の作品なので、台詞も仕草も何もかもが本当に面白くて。早く同衾(ドウキン…あぁ…😩)してあげてッと強く思うのに、願掛けの為の禁欲宣言、待つ身は辛いよね…と清一に同情しました。

農道を歩く真っ白なスーツ姿の清一に、きゃーきゃー叫ぶ村の娘4になって私もきゃーきゃーし(楽しかった)、栄治の馴染みの芸妓と清一の会話から彼女の女としての人生の長さを感じて、そんな彼女に良い男…と思わせる栄治の男っぷりと色気よ…(歌舞伎役者か😩)

私にとって作者の情の描写はお、お見事です…と身体と心の世界観で、今からそんな願掛け明けの栄治と清一の同衾が楽しみなのですが、この時代の厳しさを思うと暗い2人の未来も想像したり先生の過去作も思い出したりで、今からどきどきしています。
もうこの歳なので、はらはらよりまろやかな匂いの中にいたいな…と思ったりしましたが(過去の名作がトラウマなのだと)そんな事を思いながら読了しました。
続きを楽しみに✨(読み返したら、真っ白なスーツじゃなかった…キラキラと真っ白に見えた私…😩)
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