このレビューはネタバレを含みます▼
小学館クーポンで絶対に購入しようと思っていた秋里和国先生の作品。『眠れる森の美男』友井久嗣の帰国後からのお話。冒頭は大学生時代の後輩で教師の雪弘と、その恋人である女子生徒や友人を加えたドタバタな恋のひと騒動。今読み返すと思うところはあるけれど、煮え切らない雪弘がにえきったのは良かった。そして舞台は再びアメリカへと移り、同僚マーヴィンと友井の穏やかで儚い束の間の愛。とても美しくてとても悲しい。ここからの内容は当時も凄く衝撃と影響を受けていて、確実に血となり肉となっています。今読んでも胸が苦しく、友井という人間に思いを馳せずにいられません。作中のセリフ『神が、もう死んでもいいというまで』は今まで何度も思い出してきたし、今後も絶対忘れません。秋里和国先生の作品は性癖や性別を超えたところがあって、今の世でいう多様性を学ばせてくれたと思っています。その中でも本作は特に大切な作品。電子書籍に感謝です。