このレビューはネタバレを含みます▼
買った当時一読して以来読み返していなかったのですが、勇気を出して読み返しました。久しぶりに読み返したおかげか、展開を知っているからか、前よりも冷静に読むことができた気がします。それでも涙は出ましたが。
話を緻密に組み立てる構成力と、人間の執念への愛着が、市梨先生の描かれるお話の魅力だなあと思います。とりわけこの心中するまで〜は、パズルのピース一つ一つを拾って集めて嵌めていき、最終的に出来上がる絵の美しさに圧倒されました。きっちり内容に明暗の割り振られている上下巻完結なのも美しい。陰陽太極図か?芸術作品のようで見ていて心が震えます。
心中についてのwikiをぼやっと読んでみたのですが、このお話の主役お二人に本当にぴったりな題材だったんだなあと思いました。途中で結婚、永遠の約束をしているから、心中という言葉に至るのも素晴らしい。お二人にとってはラストシーンこそが、永遠の誓いの場面なのかも。そうだといいなあという勝手な願いです。
物語や感情における寒暖の差、緩急の差があってこそ、展開が映えると思うのですが、この作品は幸せな時間が本当に幸せそうに描かれているので、そこからのジェットコースターにかなり映えを感じます。これが狂おしいほど好きな人種、全員に見つかってほしい作品です。あなたも上巻をおすすめして釣った人を下巻で突き落としてみませんか?この快楽に病みつきになること間違いなしです。訴えられても自己責任ですが。