わたしは壁になりたい
」のレビュー

わたしは壁になりたい

白野ほなみ

人生のあり方としての自由

ネタバレ
2025年3月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 女性ジャンル。アセクシャルのゆり子さんとゲイの岳朗太さんが偽装結婚したところから始まるお話。ゆり子さんは腐女子だし岳朗太さんの片想い相手は幼馴染のイケメン庭師だし、作者さまの他作品も素晴らしかったので何となくの思い付きで買った本を棚から引っ張り出し(画面ポチポチして)読み始めたのですが、想像以上に様々な立場からの、人生と自由についてのお話でした。

すごいな、この作品でもまた、めちゃくちゃ考えさせられた。アセクシャルにもゲイにもバイにもヘテロにも、自分はフラットな人間であると、無神経にも思い上がっていたのではないだろうか、理解のある振りをして型にはめて見ていたのではないだろうかと。そう考えるととても恐ろしい。

岳朗太さんの生き方はそれでいいのか。ゆり子さんの生き方はそれでいいのか。

いいも悪いも、決まった答えなんて無いんでしょうね。誰かの正解は誰かの不正解で、自分の正解は自分のものなのだから。ゆり子さんの言う命綱の話と、ゆり子さんの友人・桃くんとの会話は全ての言葉が刺さりました。家のことについても、二人が二人らしく生きる選択をしたのですね。

ここ数日なんだか作品に集中出来なかったのですが、すごくのめり込んで読めました。描き下ろし「桃くんの英国滞在記」は、とても素敵な6ページ。癒されました。好きぃぃ。
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