スモークブルーの雨のち晴れ
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スモークブルーの雨のち晴れ

波真田かもめ

あえて名前のない関係で居続ける2人の物語

ネタバレ
2025年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 6巻まで読んでのレビュー(まだ書いてなかったー!)。

仕事のプレッシャーに耐えきれなくなり無職で無気力に生きる吾妻。ある日飲み屋で薬を入れられ誘われたところを、かつて同僚ライバルで、一夜を過ごした後に姿を消した久慈に助けられる。そこから2人の不思議な関係が始まってーーというお話。

最初のほうは、久慈はずっと吾妻を好きだけど態度には全然出ないし求めることもしない、吾妻は久慈の気持ちを分かりつつそれに甘える、という、いわばセフ◯関係。でも、一緒に過ごすうちに、お互いがお互いをよく理解し、思いやれて、自分に必要な存在だと思えるようになっていく(文字で書かれているわけではなく描写でジワジワ感じ取れる)。
なんだけど、2人とも、あえて「好き」だとかいう言葉は口にしない。「付き合う」「恋人になる」など名前が付く関係になることを選ばない。関係は曖昧なのに気持ちは強い、そんな2人の距離感がすごく良い。
そのまま行くかなーと思ったら、5巻ラストから6巻にかけては、今までより2人がちょっと素直になって気持ちを相手に伝える場面が多かった。それもまたキュンとして良かった。

5、6巻と徐々に絵が崩れがち?と思わないでもない。でもそれが逆に2人が老いてきて年相応に見えて、結果オーライかな笑。2人の関係が動いていないように見えてゆっくり動いているので、もうちょっと先まで見届けたい。
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