このレビューはネタバレを含みます▼
もちもちSF「プリンタニア・ニッポン」迷子先生の少し不思議な猫エッセイ。短い漫画と落ち着いた文体で記されていく猫の観察と先生の妄想。あらゆるものへの視点がおもしろくて、猫の観察をする先生の観察をしてみたくなる。記された事柄は猫好きならばふむふむ言えるものばかり。猫と先生の距離感も好ましい。
冒頭『猫駅』では村上春樹氏の「ふしぎな図書館」へ足を踏み入れた時のような、無意識世界の空間に迷う。日常から半歩外れた心許なさが心地よい。飼い方の常識についての回では、アインシュタイン「常識とは18歳までに身に付けた偏見」が耳に痛し。先生の文章とても好き。これからもこんな仕事をしてほしい。できれば文庫とかで持ち運んで公園とかで読んでいたい。そんな人間を遠目で観察する猫がいたら、ちょっと嬉しい。