虚空の月【コミックス版】
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虚空の月【コミックス版】

英田サキ/西本ろう

本当に感謝です。

ネタバレ
2025年6月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ どう言葉にできるか分かりませんが、2巻発売からは何度も読み返しています。
曼珠沙華は本来の意味もありますが、自分の中ではお前だけという狂った執着の男性の世界にしか咲かない耽美な華という勝手なイメージですがそんな印象もあって、何かの縁で1巻の表紙を見た時にこれはと惹かれて購入し、読了してそっと心の金庫に入れていました。2巻が発売されて、本当に?と思って読んだわけですが、読み返す度に永遠に無くならない飴玉を貰った様で。編集も素晴らしいからそうなのだと思うのですが、本編、小説、草案を往復すると、漫画で感じた志堂の艶は小説になると増すように感じ、比賀はそれに絡めらていくのだけれど、正義は社会にあると信じている様な本来の優しい性格と学生時代に友人(志堂)を失ったというあの時の消失感が再会後は執着に変わっていく様は、自分の頭の中で色んな形に変化してある時はA、ある日はB…みたいになるのですが、それでも最後は学生時代の志堂が一度人生を諦めようとした歩道橋を2人また歩く、あの草案のシーンに繋がる。その幸せな景色に繋がるから安心してあぁでもこうでもと、ずっと楽めるのかなと。

志堂が月を見つめるのは父親への行為だけではなく、それが発端で同じ行為がその後もあったのだろうかとか。投資が得意の志堂は幾つもの会社をカラ売りして潰し、少年時代の父の様に狂った家庭を持った会社員をまた自分も作ってしまったと思っているだろうかとか。誰にも頼れず体を売って…それしか選択がなかった志堂が、刑務所で出会った組長にこれしかできないからと抱いてもらった、その気持ちと父への想いや親の愛を擬似的にでも感じたのかなと想像したり。男に抱かれる事は自分を傷つける行為と同時にその時から愛を感じる行為になったのだろうかと、様々なあの時の志堂を想像してしまうのですが、それでも最後には比賀がいて。刑事になる様なそんな彼の性格だから志堂の嘘と月を見つめる事で堪えてこれた彼の孤独を、最後は知る事ができたのかなと。久住の裏切りはどの様なものだったのかと想像した時は、抗争前の志堂と久住のシーンを読み返してまた月を背負った志堂は彼を…それを比賀に悟られない様原田と隠して別れの言葉をとかですね。もう本当にずっと頭の中で読んでます。2巻の表紙も愛し合ってる2人の様で、何度も眺めてまた草案に戻ります。本当に有難う御座います。出会えて良かった。
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