俺がおまえに恋してやんよ
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俺がおまえに恋してやんよ

ARUKU

辛いことも受け入れてゆくしなやかな強さ

ネタバレ
2025年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小柄でぱっとしなくて冴えない蛍茶屋冬生は、とにかく彼女が欲しくて合コンやマチアプに頑張りますが、尽く散々な目に遭います。さらに同じ会社のデキる男•苦手な刑部銀夜に美人局にボコられたところを見られてしまいます。蛍茶屋は素敵な彼女に自分を肯定されたいという夢を諦めて、誰からも愛されることなく一人で生きようと考えますが、刑部が「俺がおまえに恋してやろうか」と言い出します。揶揄われているとスルーした蛍茶屋は結婚相談所に通い始めるのですが、田舎の母親の病気や相談所の費用のために夜中のコンビニでも働き始めフラフラになってしまいます。そんな蛍茶屋を、刑部だけは心配してくれるのでした。背が高くてカッコ良くて大型犬みたいな怖いイメージだった刑部に、自己肯定感の低い蛍茶屋もだんだん心を許してゆきます。スーパースパダリ刑部は、最初から野の花みたいに天然素朴で結構逞しい蛍茶屋に惹かれていたのでした。挫折を知らない勝ち組の攻めとこれでもかの不憫受けというキャラ設定、お互いが惹かれあってゆく過程と鮭の遡上との絡ませ方、そしてすんなりとは行きつかないハピエンと、随所に作者さまらしさが発揮されています。最近では珍しいエロなしですが、その分二人の想いが凝縮されてダイレクトに伝わってきました。
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