恋心の果てない理屈
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恋心の果てない理屈

セキモリ

を紐解くカジワラ

ネタバレ
2025年7月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 恋に迷う男児が好きだ。好きな子にズブズブ沼っていく男性も好みだ。なにより好きな人を大事にする男が大好きだ。これは梶原日南斗が恋に迷って好きな子に行きつく話。星⭐︎4.0

デザイン専門学校に通う梶原は公園で丹生谷和樹と再会する。高校1年の時の同級生。その丹生谷がこの世に存在する物のデザインを綺麗だと言った一言で進路がデザインになった。それを再会した丹生谷はまるで覚えていない。なんなら梶原自身さえ記憶の片隅にもなかった。脈なんてまったくないのに梶原は丹生谷との繋がりをなんとか保とうと頑張り始める。
ガッツのある梶原と素っ気ない丹生谷。物語は終始梶原目線で進む。

梶原の性格はかなり優しい、そこがいい。丹生谷の細かな表情を見逃さない。丹生谷の「楽しみにしてる」の言葉に張り切って課題をこなす。そんな素直な男児。だから人から好かれて、友達も多い。
対して丹生谷の合理主義はどうしても社会では軋轢が生まれやすい。人間は理論を理解するより感情のほうが遥かに受け入れ易く、便箋10枚の心情より1秒の握手が遥かに雄弁だったりする。

物語終盤は梶原の感情を言語化する能力が丹生谷の心を軽くしていく。軽くなった分、丹生谷は梶原に話しかける。理論で片付かない感情はなんて言うのか。それに梶原が優しく応える。すごくハッピーになる瞬間。はてなく幸せが続いてほしい。
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