このレビューはネタバレを含みます▼
繊細な曲線とモノクロを基調として、多くを語らない代わりに表情や構図、間の取り方で読み手の心にグッと浸透。じんわり切なさも加わって正にここからって所で結末を敢えて見せないニクい演出。他ではあまり味わえない不思議な感覚。演出と言えば、遊び心のあるチャックの効果音の文字が好きです!勿論下げる時のね。上げる時じゃないのがミソ。考えるだけで、ムフッとなります。
表題作は高校卒業してから5年後のストーリーで、他5つの短編もDKをモチーフに描かれております。大人の様に割りきれず、かといって子供みたいに分別がない訳じゃない微妙なポジション。恋心と欲望が入り交じったこの時期ならではな青さと強烈なほどの熱、基本DK同士ですが流し目や艶っぽい色気と瑞々しさに惑わされちゃう悪い大人もちょこっと出てきます。
また教室でのシーンが多く、リアルなだけに背徳感半端ない、、どのストーリーもインパクト強!
DKでこのバリエーション、ちょっとした癖もプラスされて、埋もれる事なく記憶に残るものぱかりでした。
特に表題作が自分には深く刺さりまして。高校卒業と同時に一方的に想いを告げて終わった恋が、同窓会で再び‥
お前俺の事好きじゃなかったっけ?の一言で、ぶわっと当時の記憶と感情が甦り!あの顔はいかん!!何かのサインの様に思えてしまった瞬間でした。幾度となく視線を感じていたあの目。あの頃から何一つ変わってなかったんだなと。そして気づいてしまったんですね。お互いの身体で気持ちを確かめる様に貪りあう逢瀬と、外した指輪をしっかりはめ直しすシーンが夢から現実に戻る魔法みたいで‥。
卒業式での流れを遮る別れ。やはり、あの時の後悔が押し寄せて終わるんですが、最後の書き下ろしで明るい未来に繋がる展開に、今度こそ迷わずに伝えて捕まえて!!きっと間に合ってるはずだと祈らずにはいられませんでした!
これを機に明日子先生の他の作品も、手にとってみたくなりました!