狐のよすが
」のレビュー

狐のよすが

ミナヅキアキラ

「よすが」の意味が深くて泣ける

ネタバレ
2025年8月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ わかってるようでわかってない言葉かもと思ってつい調べました。
意味はイメージ通り「頼りにしている人やモノ」や「手がかり」で漢字で書くと「縁」「便」「因」だそうです。まあそうだよね~くらいに思ってたら、由来が【寄す処(よすか)】という「身を寄せる場所」というのがわかり、万葉集では「故郷」、源氏物語では「夫や妻」という意味で使われていたそうです。

それを知った上でもう一度読み直すと、九重はピー助のために”よすが”と名付けたけど、無意識下に自分の心が帰る場所や愛を分かち合う対象が欲しかったのだろうかとも思えてきて、同じ種族の家族や仲間を失くした彼がどれだけ寂しくて孤独だったかを想像してしまいました。それなのにまた今度はよすがのために孤独を選ぼうとする九重よ・・・もう泣く。

そしてピー助がプリンティングのままに九重を「とーたん」だと思って懐いてたのに「おまえは狐じゃない、鳥だ」と告げられた時のガーンの顔大好き!そう、あなた鳥なのよ。おててがちゃんと羽なとこリアルで良いです。チビよすが可愛すぎて叫びたくなるので要注意です。
成人?成鳥?してからのよすがの中性的な美しさとその衣装も最高に好き。大きくなるにつれて鷹の文様らしい着物になっていくの素敵すぎます。鷹の師匠のいで立ちも格別でした。鷹なのに鷹匠なかんじの衣装が似合っててとてもかっこいい!

ミナヅキ先生の切なさや優しさ、暖かさがじんわり沁みるところは他作品とも共通してるし、この作品は人外なこともあって特に先生の画力が存分に発揮されているように思います。鳥の羽、蛇の鱗の精緻さやケモ耳に馴染む髪の描き方とかも本当に大好きです!
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