彼のシュシュと消せない夏
」のレビュー

彼のシュシュと消せない夏

TaaRO

ハードでヘビーな闇BL

ネタバレ
2025年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 闇BLが大好きなので、発売当初からずっと気になっていた作品。
かなりハードな物語でした。

公園で暴行を受け気を失った少年が、見知らぬ男に拉致される。
少年は辱められ、恐喝され、その男から逃げられない。
話が進むにつれ男の暴力は激しさを増し、少年はプライドも尊厳も粉々になってゆく――。

精神面だけでなく、肉体的に痛いシーンもあります。
ひぃぃ…と思いながら読んでいたのですが、後半が圧巻でした。

次第に明らかになってゆく、イエンの闇。
苦悩の果てにたどり着いた、彼の選択――彼は他の道を歩むこともできたのではないかと思うと、やりきれない気持ちになった。

正義と悪。絶望と救済。全てが混ざり合う物語の最終盤、魂が叫んでいるような慟哭のシーンに心が抉られる。
読み終わったあと、いつまでも苦い痛みが胸に残った。

読み返すと、全てのシーンが全く違う景色に見えてくる。
見事でした。この作品、すっごく好き。
「我こそは闇の腐。地雷なし。どんなものでもどんと来い」と闇BLに自信のある方、是非。
闇BLの傑作だと思います。
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