鬼夜曲 ~闇に響く亡霊の唄~
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鬼夜曲 ~闇に響く亡霊の唄~

ANANAS/C.R Jade

音なきアニメの子犬王子

ネタバレ
2025年8月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 韓国歴史ファンタジーBL。本棚の初入り韓国作品。1巻330頁・2巻290頁【1部完】全フルカラー。連載中で続巻あり。 頁数とカラーゆえにお高め 星☆4.0
壮麗な描写が漫画というよりはアニメを再生している感覚になる。

物語は、閻魔大王の三男・ジェシンの驕慢な態度に制裁が下される。罰として昼間は白い子犬となり、元にもどるためには”人間の真心を得る”課題がつけられた。魔界の王子が何故人間の心を得なければならないのか。非力な子犬のジェシンを拾ったのが、国の世子(王位継承者の王子)、イ・ノク。彼には妖の呪いがかけられ、夜毎悪夢にうなされていた。

最愛の母を失い世子は孤独を深めている。その上、呪いの根は深く呪詛の犯人を追う宮廷ドラマへ。日が沈めば、ジェシンは色気のある美男子。韓服姿や髻(モトドリ)もいいけれど、濡れ場で見せる上腕二頭筋三頭筋や腹直筋の威力がすごかった。世子は華奢な躰に涼やかな美しさを纏っている。ひ弱ではなく、父親に疎まれてもジェシンの揺さぶりにもブレない誇りがある。それでいて子犬と二人っきりになったときの呟きや笑顔には清らかさが溢れている。

朝日が昇ると無力な子犬になるジェシンは見上げる視線で何を感じるのだろうか。宮廷ドラマに気をとられてしまうが、そもそも課題を与えたのはジェシンの父だ。世子の父も誇り高く威厳を持って存在している。韓国の父親像が垣間見えた。
世子は子犬に”クムドン”と名を付けた。微笑みと慈しみの声で呼ばれるときに感じる気持ちにも名前はある。物語はまだまだこれからがヤマ場。波乱にみちたストーリーを楽しみたい
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