このレビューはネタバレを含みます▼
痴かんプレイを強要する大学生とお人好しリーマンBL 186頁星☆4.0
満員電車で通勤する真山善明は車内で女子高生から胸をさわる行為を強制される。次の日、話しかけてきたのは大学生のつかさだった。
表紙の暗い色使いで明るい展開は予想しにくい。真山をつかさは「おじさん」と呼ぶ(真山は29歳なんだけどね)証拠写真をタテにつかさはプレイを強要する。真山には思わぬ災難。本来のお人好しの性格や自己肯定感の低さも相まってズルズルと電車に乗り続けてしまう。ここには真山の優しさもあるが、実は”強く求められることで満たされる喜び”も垣間見えてくる。
物語は、つかさの”プレイの元凶”に及ぶ、中学時代の好きな先生からのリクエスト。背徳感と快楽のセットは彼の心にトラウマを残した。周囲の大人は時間が解決すると無関心。成長とともに抑えられない欲求はつかさを制服姿へ変えてしまう。後ろから忍び寄ってくる大人たち。匿名性が高いプレイで快楽を発散する大人は多い。その対象はいつだって弱者だ。つかさは自分の性癖を抱えたまま寂しさで電車に乗る。寂しいと言えばよかったのだろうか。つかさは10代の不安定な少年なのに。満員電車の閉塞感が重なってしまう。
ふと、つかさが後ろからのプレイを強要していないことに気付いた。真山と向き合い、見上げる表情に求めているものがにじみ出ている。微笑む瞳に可愛さあり。しかも書下ろしのつかさはメンタル強の発言だ。とても心強い。
欲望がもつ不快感を痴かんプレイで再現しながら、置き去りにされた恋を優しい男が拾う話で胸がなでおろせた作品。
※小指先生の作品レビューが楽しくて連投してしまった※