BEASTARS
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BEASTARS

板垣巴留

この世界、肉食獣を抑圧しすぎじゃないの

ネタバレ
2025年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 無料読みの機会に読んでみました。
こういう、人を動物の姿で描くタイプの作品は、もっとほのぼのファンタジーが似合うな、と思いました。かつての日アサ『メイプルタウ◯』みたいな……。ああいうふわっとファンタジーであれば、世界の成り立ちとかは別に気にしなくてもいい。
けどこの作品はシリアス寄りで、絵柄もかわいさは無い……世界の成り立ちが気になっちゃうんですよね。で、そこが気になった状態で読んでいると、この世界どうなってんのって疑問符だらけになっちゃう。肉食獣が肉食べられないって、平等どころかひどい被差別状態で、そんな状態で成立している共存は本当に共存と言えるのか……?肉食獣種の栄養状態が心配です。
草食獣……平等を錦の御旗に「食べられる側である弱者」を武器にして肉食獣を虐げる傲慢な者どもよ……今こそ立ち上がれ、肉食獣よ!
……って気分になりましたが、そういう作品ではない。
基本的にものの見方が比較的素直なんだろうな、という印象で、考え方の端々が、捻くれ者には引っかかります。
単純に、キャラクターの性格も、私の趣味に合いません……みなさまあまりよろしくない。特にヒロインであるウサギの女の子、2巻のはじめでドン引きしました。1巻段階では「勝手に男が寄ってくる」的な、意図せぬ魔性タイプかと思っていたのですが……いや、もうあれはダメでしょう。
そして3巻の「卵を売るアルバイト」の話で完全脱落です。なんかあれ……こわい……生理的に受け付けられなかったです。

個人的には、1巻あとがきにあった「制服のしっぽ部分の穴は各自ハサミで切って開けてる」っていうのがかなりの合わないポイントでした。ほつれる!ほつれるよ!……私が制服を仕立てる側だったら、丹精込めて丈夫になるよう縫った服に適当にハサミ入れられるのが当たり前という状況に耐えられない気がします。
ちょっと世界の構築に緻密さとか誠実さが不足しているなと感じ、がんばりましたが3巻でお別れしました。
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