Sentinel Loverse 【電子限定特典付き】
やん
このレビューはネタバレを含みます▼
センチネルバースの世界 上巻189頁 下巻189頁 星☆4.0興味深い世界観。海外ドラマのようなドラマティックな始まり
シカゴのスラム街で野良犬のように暮らしていたイツキ。全人類の0.05%の『センチネル』のイツキは第六感で「風」を操る能力が眠っていた。五感の能力を使いすぎると制御不能で暴走する身体。イツキは激しい頭痛と強い匂い、うるさく響く音、刺さるような光に悩まされ続けていた。
センチネルの能力を回復させるバランサー『ガイド』もその人口は少ない。ガイドの癒しは直接接触で行われる。もちろんセ/クスが回復度が高い。アルバは触れるだけでガイディングができる特殊なタイプ。触れた指先からの視覚効果で癒し度がわかりやすい。この物語は犯罪、戦争、兵器、国家機密にアクションと特殊能力が備わった運命の苦悩も盛り込まれている。
やん先生の筋肉イケオジの完成度は高い。アルバは眼鏡をかけたインテリ風だが、火傷を負う前は精悍な顔つきで二度おいしい。しかも火傷痕は呪いのようで、独特の色気になっている。スピリットアニマルのフクロウ?もアルバの雰囲気にぴたったり。静かで獰猛。賢くて冷徹。
対してイツキは日系、やせ細った孤独な野犬。最初こそ手をかけるが、体の苦痛から解放された後のアルバへの懐き方が切ない。「あんたじゃなきゃ駄目なんだよ」と伝えても他のガイドを試せと言われたり、距離を置かれたり。それでも、イツキはアルバ以外は欲しがらない。ただひたすら訓練にまい進しながら、専属ガイドは1人だけと決めている。一途な忠誠と献身。
2巻はアルバと炎のセンチネルの過去が展開される。狂犬のような奴で孤独なセンチネルだった。超人的な能力も戦場以外では脅威になる。アルバに心を寄せたが負傷して炎と共になくなってしまう。センチネルはガイドに依存しやすい。とかくセンチネルの特異体質が際立つが社会的にはガイドの方が優位だ。それに権力者はそのどちらも自由にはしない。
アルバは読書と植物を愛する男。ガイドになったことで静かな時間は少ない。だからこそ穏やかな時間を過ごしてほしい。イツキがその傍らで撫でてもらうのを待っている。もう寂しい野良はいない。
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