囚愛の明け烏 -センチネルバース-【単行本版】
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囚愛の明け烏 -センチネルバース-【単行本版】

ポケラふじ子

金のセンチネルと導きのつがい

ネタバレ
2025年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ センチネルバースの進化 272頁 星☆4.5 大本命。1話の表紙が印象的で即買い。驚くほどの要素が濃縮されてガツガツと読む。最後の裏表紙で、ムンクになった。盛りこぼれたネタや掘り下げ不足のエピソードに、頁がまったく全然足りなさすぎる(涙泣)

人口の数%の『センチネル』と『ガイド』が主軸のストーリー。元刑事でセンチネルの吉桐(よしきり)は探偵事務所を経営している。『センチネル』は超人的な五感を持つ。しかし膨大な情報に疲弊しやすく、能力を使う時は無防備。通常はシールドで精神を防御しているが、能力の使い過ぎでゾーンと呼ばれる精神錯乱や生命危機に陥る。この使いすぎた能力を回復・癒す特異体質の『ガイド』はセンチネルの命綱だ。吉桐と同居をしている渡里(わたり)は幼い時にガイドに覚醒した。ガイドのケアは軽いタッチから粘膜接触まであり、近くなるほど効果が強くなる。センチネルの活躍の影になるガイドに渡里は屈辱的な感情がぬぐえなかった。

吉桐は金髪の美形。覚醒後のスピリットアニマルは獅子と鮫のキメラ。そのために相性の良いガイドは希少価値になる。吉桐は渡里に好意をよせる。だが渡里は施設での生活、不特定多数と接触するケアの息苦しさから吉桐の気持ちを無視し続ける。この展開の上に犯罪がらみの調査や連続殺人が起きていく。特に連続殺人犯を追い詰めていくネット攻防はハリウッド映画なみの展開だ。専門用語が並んでもスピード感と緊張感が伝わってくる。ここだけで単行本を作れる勢いがある。ハッカー集団「八咫烏(ヤタガラス)」の活躍が数ページの内容ってのがなんとも口惜しい。

一番の見どころは6/7話で、キメラの想いが暴走して大爆発する。都会の見事なシーンはタイトルや広告に使ってもいい出来映え。作画だけでなくストーリーも盛り上がって最高潮に達している。固唾をのんでハラハラしてほしい。

毎回レヴューは苦しむけれど、ポケラ先生の技量が高次元すぎて唸りながら書く結果に。センチネルは犯罪に巻き込まれる内容が多め。ストーリー重視の方に特におススメ。展開重視はラブが減っちゃうとの、お嘆きは今作にはご無用。腐人のハートに刺さるおもてなしが用意されている。文句なしの良作。
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