このレビューはネタバレを含みます▼
人付き合いの苦手なSEの春樹。偶然出会った赤の他人にお金を払ってパパになってもらっているというお話。
利害関係のない他人だから気軽に話せるというのもあるかもしれない。春樹は欲しくても得られなかった父との温かい関係を、そして灰田は自分の妻や子供のことを理解してあげられずに失ってしまったことへの贖罪を、お互いによって埋めようとしたのかな。
二人の関係が穏やかで温かいのに表面的で切なくも感じられます。
春樹が同性愛者であることを告白し灰田はありのままの春樹を受け入れます。二人の関係が今後どのようになっていくかは読者の想像に任されているような感じですが、私は春樹は気持ちを告げないまま今の関係を続けていくのではないかと思うし灰田も春樹の気持ちに気づかないふりをしたまま良き理解者良きパパとして過ごしていくのではないかなと思いました。そして春樹がいつの日か誰かに恋をしたらそっと応援して巣立っていく息子を少し寂しい思いで見守るのではないかな・・と勝手に想像しました。
人それぞれの解釈ができるしラストはこの終わり方で良かったと思います。
素敵な作品でした。