落花と破鏡の
」のレビュー

落花と破鏡の

里つばめ

ものの儚さを感じて胸が熱くなりました

ネタバレ
2025年10月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 里先生の新作という事で、それも2作品同時に発売されたと知って、今年ももうあと少しだから頑張ろうと感じて嬉しかったですね。

この歳だから読みながら沁みたんだと思いますが、何で自分だけ…というままならない事を受け入れるまでの大変さや、それは決してひとりじゃ乗り越える事はできなかったんだなという想いに至るまでの境地、幼少期に居た同じ景色で迎えてくれる人達の有難さ。そこら辺が沁みました。(タイトルから謡曲「屋島」のお坊さんと漁師のやり取りが物語と重なって泣けました。個人的に人生においてこのどうにもならないものの儚さが耽美だなと思うのですが、それと今の社会で生きる青年達を掛けたのかな…?里先生にブラボーと…)

然には然のままならない定めみたいなものがあって、それは彼の場合母との関係なのかなと思いますが、真智が東京から戻って来た事で母と向き合い、それまでの関係性から変わる事ができたのかなと。
真智も姉の不慮の事故とそこから変わってしまった親子の関係。彼には希死観念の様なものがあったのかなと思いましたが、倒れるまで働き、縁あって帰郷しなかったらきっと彼も…。なのですが、然や中学時代の同級生と再会する事で、彼のそれまでの固定観念や運命が変わっていったのかなと、そんな風に思いました。

…で、ですよ。最大の萌えは初恋叶う…なのかなと。ぐいぐい来た然!!(良き✨✨)そこを自然と思い出し受け入れた真智の心理はやっぱりそういう運命だったのかなと。BLと運命って天下無双だなぁとじーんとして、そこから後はむふふで。はぁ、里先生ありがとうと。里先生の攻めキャラは本当に良いなぁとしみじみ思いました。

お祭りと子供達。鹿や狸、カラスとの不思議な関係、死後の真智の姉と然の関係は特にタイトルから感じる無常観みたいなものを感じ、それが然という人生なんだろうなと最後は思いました。前半が大変だった2人なので、どうか人生後半はいつまでも幸せに過ごして下さい…と思って読了しました。ジーンとしました。
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