ビッチなスズキくん
」のレビュー

ビッチなスズキくん

重い実

稀有な才能

ネタバレ
2025年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読むたびに号泣してしまってなかなかレビューが書けなかった作品なんですが・・・
作品のトーンがシリアスじゃない分余計にずっしり重い。
先生特有のちょっとシュールで軽い会話や心のツッコミ、楽しくてほんとに大好きなのです。

でもスズキくんの絆創膏を見るたび、幼い頃に冷凍保存されてしまったスズキくんの祈りをぺたぺたと貼り付けているように感じてしまいもうダメなのです。
須崎君が他の女性と寝る事よりも時計を見ることの方が地雷なのも、須崎くんが好きだとかいう以前にただ置いていかないで、という願いがそこにある気がして胸がえぐられるのです。
さらに描きおろしの「女の人にはお花でしょ?」無垢で打算のないスズキくんがいじらしすぎて最後まで容赦なく涙腺を攻撃してくるのです。

スズキくんの最期の時まで離れなかった須崎くん、きっと死ぬまで恋愛してたかな。須崎くんの純愛が凄まじくてヤリ⚪︎ンでもビ⚪︎チでもノンケでも、ほんとにそれどうでも良くない?レベルまで霞んでしまう。

そしてあまりにもインパクトの凄すぎる店長について言いたいこと沢山あるのだけどきっと文字数足りなくなってしまうので端的に。
どこか壊れてしまった人の危うい美しさがクセになります。この人にハマったらヤバい。なんとなく堺くんは北海道に帰って正解だったように思う。

陳腐なセリフに頼りがちな、いかにもな題材をこんな切り口でもってこられると私には拷問です。とても紙では読めません。泣いてしまうけど本当に圧巻な作品でした。
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