ごめんねジェラシー
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ごめんねジェラシー

さとう蜂子

後輩からの言葉のないラブレター

ネタバレ
2025年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高校の先輩後輩、再会BL 176頁 星☆3.8 楽しくて夢中になった思い出。忘れたくても忘れられない時間。再会したら眠っていた気持ちが目を覚ます。

アート系雑誌の仕事をしている岩崎裕貴は知り合いの合コンでかつての後輩・二階堂隼人と10年ぶりの再会をする。高校の美術部で一緒だった二人。将来の夢がアーティストだった岩崎。それが二階堂の才能を前に打ちのめされる。結局、卒業前にアーティストの夢をあきらめてしまう。

岩崎は先輩としてカッコ良くいたいのに、心に羨望や嫉妬を抱えてしまう。みっともなくて情けない自分から逃げ出した。だけど社会人になれば才能の塊はそこかしこに居る。それなのに二階堂との軋轢がいつまでも抜けない棘のように刺さっている。忘れているようで忘れられない後輩。

二階堂は岩崎の絵に惹かれて美術部に入部した。絵に夢中な先輩の視線を自分に向けてほしかったけど、叶わず。再会後は二階堂の焼け木杭に火がついた(付き合っていたわけではないが、片想いは強かった)高校時代の想いとその後の経験が燃料となり、ボウボウと燃える。忙しい合い間に、自宅に来る岩崎をモデルにデッサンを描く。そして一枚が終わるたびにそれを渡す(作中はサラ~ッと流れている)これが言葉のないラブレターのようでたまらない。

荒削りのタッチだが、横顔や時折みせる視線に情熱があって感情が伝わってくる。攻めのカッコよさはマスト。そのうえで受けの表情もやわらかくて(攻めフィルターが入っているのか?)色気がチラチラするのが良かった。

先輩の刺さった棘は二階堂の恋の業火が燃やしてしまった。二人で思う存分夢中になってほしい。
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