チ。―地球の運動について―
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チ。―地球の運動について―

魚豊

命にかえても手放せない宝

ネタバレ
2025年12月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 異端であるかないかが命の行方に直結した時代。どんな偉業も実体社会に組み込まれた時点で、為政者にとって不都合なことは簡単に表に出てこないだろうし、真の英雄は誰にも知られていないかもしれません。
当時異端であった地動説を唱えた学者たちの生き様を描いた作品。
そして命をかけて守ったのは学者だけではないという所にも、単なる天文学の歴史というだけではなく人間の生き様や哲学を見る事ができます。

ここに出てくる主人公たちが信じた真実というものには、気が遠くなるほど長い時間コツコツ紡いできた研究という裏付けがあり、少なくともそれによって証明されてきた事実は長い年月を経てちゃんと今私たちの目の前にあると思います。

今新たにある科学も全て正解な訳ではないかもしれないけど、仮に間違いがあるとしても人間が知性を失わない限り、いつかはラファウやパデーニのような名もなき偉人の手で正しい方向にちょっとずつ修正されていくのだろうと思います。
知識とは例え壊され途切れたとしても、再生されてどこかで別の誰かがまた紡いでいくもの、手放せないものなんだとこの作品に教えられました。だからこそどんな障壁があろうと本物の知性や真理は這い上がり必ず日の目を見る時がくるものだと信じます。

他にも色んな気付きを与えてくれる作品でした。知と血と地。全部チ。日本語ってヤバいなって思いましたし、何より魚豊先生がまだ20代だという衝撃!頭が地球の自転速度に追いつけてなくても、若い先生の作品から学ばせてもらうことはたくさんありました。この世に傑作をありがとうございました。
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