このレビューはネタバレを含みます▼
記憶が霧のように消えていく。前編 52頁 後編 56頁 45歳の25年分が吹っ飛ぶ。2人の結末が気になって仕方なかった
一流企業に勤めていた雪仁(ゆきひと)は高熱から回復すると20歳までの記憶しか残っていなかった。パートナーの瑛太(えいた)とは付き合い始めの断片だけ。それは想像もしていない事態だった。
瑛太はロン毛でくたびれた表情が妙にリアルで、雪仁も頬や目じりが重力に負け始めている。瑛太の中にある2人の思い出が次から次へと溢れてくる。でも今の雪仁は別人のよう。大好きな恋人を失ったかのような感覚が辛い。若い時の別れ話でさえ幸せの思い出になっていく。
思い出は誰からも奪えないものだと思っていた。雪仁の記憶は戻らない。時を経ても瑛太の変わらない一途さがよかった。