さんかく窓の外側は夜
」のレビュー

さんかく窓の外側は夜

ヤマシタトモコ

言葉を知るまで知らないものがある

ネタバレ
2026年2月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 正直、最初は除霊方法がえっちで最高だなぁ冷川さん変な人だなぁとか思いながら読んでました。

が、中盤で冷川さんの生い立ちが分かった途端、語彙力がないのもスーツしか着ないのにも理由があったことが分かり、冷川さんの変な言動の悲しい伏線回収から一気にストーリーに引き込まれました。

「言葉を知るまで知らないものがある」
冷川さんは愛されたことがないから、愛を知らないし、愛されるということがどんなことかも知らないし、何故優しくされるのか何故理解したいと思ってもらえるのかも分からず、自分がすでに人を愛していることにも気付けない。

こんなに悲しい人がいるだろうか…。
壊すことでしか自分を守れなかったんだろうな。

そんな冷川さんの「私でなく?」と傷付いた様子はすごく悲しくなったし、最後の「そばにいてほしい、いさせてほしい」は冷川さんの知っている言葉の中で最大級の愛の告白だなと思いました。本人は気付いてないですが。

これから三角くんのそばで人間性と愛を学んでいくという終わり方がこの上なくよかったです。

主人公たち以外も、逆木さんとえりかの関係は終始ぐっと来るし、迎さんが対話で時間稼ぎしてくれたのもすごくよかったし、一般人枠の半澤さんと三角くんのお母さんの存在がかなり大きくて、この作品の光の部分というか良心の部分というか救いの部分というか、周りの人たちの存在がこの作品を名作たらしめているなと感じました。

そしてラスボス位置である先生に関しても、序盤でお母さんとの話があったおかげであまり嫌悪感を抱くこともなく、むしろ感情移入してしまいました。呪いってのろいでもあり、まじないでもあるんですよね。

特別な能力を持った5人のやり方が「壊す」「直す」「入れる」「話す」「呪う」という、それぞれの人生と性格が反映されているところもなんだか切なくて好きでした。

興奮のままに書き連ねており、好きなところだらけで語りきれないですが、今回この機会にこの作品に出会えたことにとても感謝しています。ありがとうございました。
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