このレビューはネタバレを含みます▼
ユーディスティ王国で最も身分の低い王子シャニと、彼が貢物として嫁いだザノゥサの長グリトニィルのお話。
生まれた国でも嫁いだ先でも周囲から蔑まれるシャニの境遇が辛い。
冒頭どちらにおいても彼の居場所がなく、普通なら逃げてしまいたいような状況なのに、それを正面から受け入れ絶望にのまれないよう心を強く持つシャニの強さ…特に生きる力の強さが眩しい。
孤児のアラヌヌに弓を教えたり、強い猛獣を倒して里の者に受け入れられていったり、徐々に自ら現状を打破していく様子が良かったです。
伊達先生の書かれる強い受けの中でも、シャニは最強の部類では? 辛い境遇を嘆くより己を鍛えて生き延びる…。かっこ良すぎました!
中盤以降からようやく長としてではないグリトニィル自身との交流が始まります。
唯一の家族を亡くし、寂しい本音を吐露するシーンは凄く良かった。
2人の距離が確実に近づいている様子がとても自然で、もう家族同然やん、と。
狼笛のエピソードも良かった。狼でも人でも愛している証だなんて!!
このキュンキュンエピにも動じない鈍感シャニが通常運転なのも良かった。シャニは漢前なのに、こんなところはポンコツなのが微笑ましい。
この辺りまでは笑って読んでいられましたが、以降怒涛の展開の連続で一気に引き込まれました。
狼笛がここでも活躍(良いシーンでした)
それだけでもグッと来たのに、シャニの「口っていうのは自然とくっつくものなんだな」ってセリフの破壊力よ!
可愛っ! 漢なのに可愛いシャニ…反則だ。
そんな可愛さで油断させておいてのガッツリエロ展開も良かった。
今までの雰囲気からしてホンワカサラリ系かと思いきや、予想に反して…。
しっかり描写のあったシーンは1か所だけでしたが、思いのほか作品の雰囲気を壊さずしっくりきました。良かったです。
ラスト付近、クライマックスシーンでも狼笛が大活躍(主役級w)
ザノゥサの皆があの場面でもシャニを信じてくれていたのが胸熱だった!
正直、王国が無事だったのは今後の両者の関係のためにも必要だったとは思いますが、王家にはそれなりのザマァがあって然りでは? 無かったのがとても残念でした。
最後はとても幸せそうな2人で締め。最後の最後までしっかり魅せてくれる大満足な作品でした。
読めて良かったです。