君と家族みたいなそれ以上
」のレビュー

君と家族みたいなそれ以上

季田ビスコ

逃げ道

ネタバレ
2026年7月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ ビスコ先生はキャラの性格の層を描くのが本当に上手い…あと本当に肉体の描き方が上手い…今作も最高…

多忙なサラリーマンの隆臣から依頼を受けて派遣されてきた家事代行サービスの理央。
2人はたまに仕事の流れで夕飯を共にする程度には信頼関係が出来上がっていた中、隆臣の自宅に彼の甥である陸が現れる。
小学校から帰宅してきたような姿のままで、隆臣自身も1年ぶりに会う陸の突然の訪問に驚いていると、陸は、隆臣の姉で自身の母が薬の過剰摂取により緊急入院することになり、夏休みの期間だけ家に泊めてくれないかと隆臣に頼む。
しかし隆臣は小学校の夏休みの期間、仕事を休めるハズもなく、逡巡していると理央は「夏休みの期間は住み込みで雇ってもらえませんか?その間、僕が陸くんの面倒を見ます」と提案する。
結果、その案は採用され、1カ月半だけの男3人の生活がスタートしたのだった…

という始まりに、精神を患っている母親の代わりに食事の調達や、母親の投薬コントロールすら担っていた陸が3人での暮らしの中で「普通の小学生」に戻っていく姿をみながら、隆臣の贖罪、理央の心の傷が陸を通じて溶け合って家族になっていく姿に、涙がポロっと流れ落ちました。

この本には、ヤングケアラー、ネグレクトが題材の一部にあって、そして先生が仰る「大人が子どもを助ける社会」が確かにありました。
コレ、親世代の親たちがどうなったのか書いてないですよね…でも親世代である理央も隆臣がこんなにも出来た人格なのは、ここには登場していない周り(育ち)の環境の中でたくさんの人が2人を見守ってくれてたと信じたい……
陸の母親だって、キツく理央に当たったけど「最悪」なのは恐らく自分自身に向けてだよね…「男が母親の代わりをしていて、ちゃんちゃら可笑しい」と額面通りに受け取りがちだけど後の言葉や態度を見ると「母親としての役割が出来てない自分自身に腹が立つ」ってことだよね…この事件を機に、陸の母親が立ち直ってほしいと心から思う。
精神疾患は苦しいよね。辛いと思う。
だけど、恐らく大学生活で"何か"あるまでは、根が真面目で優しい女の子だったんだよね…大人になりきる前に、大人にならなきゃいけなかったんよな…

でも、裏表紙にあった陸の顔。見た目は隆臣なのに表情は理央そのもの。涙なくして見れないよこの絵は…
みんな、幸せにね…

次作も楽しみにしております。
いいねしたユーザ18人
レビューをシェアしよう!