記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい/花守
このレビューはネタバレを含みます▼
何作か、男性目線のこのようなお話を読んだ事はありますが、隣国との関係や辺境の地や王族全体を巻き込んだりと、最後まで飽きる事無く読めました。主人公王子の幼少期に、貴族に吹き込まれた事が原因で婚約者との仲が冷めたものになってしまい、最後に気付き後悔をしますが、それ以外では優秀な王子だったから、男爵令嬢との事がなければ王位継承とまではいかなくても、優秀な王兄としての地位は確率出来たのではないかなと思います。男爵令嬢は、契約書までサインしておいて、教育内容まで読んで、あれだけ考えられたのに、あっという間にまともな考えを忘れてしまい、挙げ句に侍女に騙されてしまって、まぁ自業自得といえばそれまでですが、それにしても間者が侍女に紛れていても全く気付かない王家もどうなんだ?と思ってしまった。隣国との戦いや逃げた男がどうなったのか等気になる所がわからず少しモヤモヤが残りましたが。魔法で視力と記憶を失った元婚約者が、最後には元に戻るんじゃないかなと、何となくは思っていました。が、辺境伯の強い想いで奇跡が…なんて考えていたら、そっちかぁ。考えればそうだよなぁ。と納得な解け方でした。一番良かったと思ったのは、侯爵父が娘と再会できた事です。娘を喪ったようにしなければいけなかったなんて、娘を大事にしていた父親はどんなに辛かった事か。初めから最後まで、誰か目線でも統一された文章だったので、読みやすかったです。
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