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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • ホラー シルキー 幽世の扉

    永久保貴一

    かなり面白い。
    ネタバレ
    2024年9月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「すんごいオバケの出る家」でシェアハウスする青年3人のドタバタ物語。うち1人は素直に経済的事情、2人はオバケにビビらない訳あり君。トーンは同じ作者の他作品より気持ち軽めで、くすっと笑いたくなる面白さです。続きも買っちゃうなあ。
  • 銭鬼~借金地獄・銭の復讐~

    庭りか

    すっごい面白い。ザ・名作。
    2024年3月24日
    金と欲。人間の根源的なテーマの一つだと思います。取り繕いを捨てた本音の部分でそこに向き合った作品で、最初から最後までどのエピソードも強烈に苦いながらに面白い。主人公の女性は美人ではなく心もきれいとは言えないが、ある意味で哀しいくらい賢い人で、彼女の壮絶な生き方が生まれた背景は説得力のある物語で描かれています。
    これ、ドラマ化してくれないかな。そしたら絶対に観る。
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  • 側室は金髪だった(単話版)

    葉月つや子

    面白かった。もっと長編でもいい。
    2023年9月10日
    名前は変えてありますが、モデルの大名は誰でも一瞬で分かるレベルです。いっそ織田信長としてしまっても面白かったと思いますが、さすがにそれだと、実在しなかった人間ははめ込みにくいですね。架空の大名としているから自由に書けるということでしょう。そして濃姫や明智光秀のオマージュのキャラも、奥行きと立体感のある描写で良かったです。読み終わった後には、寂しい夢を見たような儚い気分になりました。秀作です。
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  • おそうじします!

    くりきあきこ

    好きで何度も読んでます。
    ネタバレ
    2023年8月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ あくまで女性らしく母らしい主人公が、掃除についてはしっかりプロとしてふるまうところが良いです。しっかり顧客の信頼をつかみリピーターが沢山ついてる立派なバリキャリなのに、肩ひじ張ったところもピリピリしたところもない。プライベートとビジネスで全くキャラが変わらず、ごく自然に両立している。現実には難しいでしょうが、男性にも女性にも、ある種の理想の女性の姿ですね。それに対し、ナチュラルに母になれない女性として描かれた元夫の後妻のキャラも良かったです。彼女にも、正直ダメ男にしか見えない元夫にも、序盤でヒロインを苦しめた元姑にも、別に因果応報はありません。悪役として描かれた人物まで全員が、ありのままで自分なりに生きていく展開に、作者の人生観、人間観が出ていると感じました。掃除の豆知識が役立つ点含めて、秀作だと思います。
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  • 悪魔の黙示録

    高橋美由紀

    独特の面白さがある作品です。
    2023年5月25日
    ここまで正面からこの宗教を扱った少女マンガって、ありそうで結構少ない気がします。ストーリーもキャラクターも王道を行っているようにも思うのですが、そうかといって他に似たような作品があるか、と問われると出てこない。出てくる男性はいずれも現実離れしたイケメンばかりで、とにかく女の子のためのような作品です。30年以上前の少女時代に夢中で読んだ記憶があります。電子ブックになったのですね。のんびりとまた最終巻まで読みなおしたいです。
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  • 明智警部の事件簿

    天樹征丸/さとうふみや/佐藤友生

    四ツ星イエーイ□
    ネタバレ
    2023年5月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 小林君と明智警視のやり取りがすっごーーーーーーーーーーーーくおもしろい(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)(⌒‐⌒)
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  • ポリ公

    立原あゆみ

    面白かった!
    ネタバレ
    2023年3月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ でも、物語の中で分かり合える絆を育ててきた彼女との関係の結末が切な過ぎました。結局、ケンカしながらでもずっと一緒にいられる女性は彼女、まで描いた上での展開が、まあ上手いと言うか…読者の心に爪をたてて跡を残すテクニックはさすがです。ハッピーエンドになってほしかったなあ。
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  • CLAYMORE

    八木教広

    エンディングの完成度に脱帽。
    2022年11月2日
    序盤からぽつぽつと張っていた伏線を、最後のあたりですべて回収したのが実にすごいです。ラスボスにあたるキャラの無限に近い強さの源と哀しさ、人の心を維持したままで覚醒する真の方法、それらを全てそれまでに語った物語の結論として見せて完結しました。本当に最初からこの結論を目指して話を作ってきたんだろう、と分かる展開になっています。そして、もう1つのポイントが、恋愛ネタがゼロに近いのに登場キャラが非常にウェットであるところ。彼ら彼女らは、常に命がけのギリギリの最前線で、ほぼ恋愛をせず、ただ運命を共にする戦友との心の絆だけを重んじて生きています。性別も年齢も関係なく、ただ友情と信頼と尊敬がすべての人間関係。そこがとてつもなく幻想的で、独特の美しさを醸し出しています。心に残る名作です。
  • 永遠に殺されつづける夏

    絵島聖/森野眠子

    綺麗にまとまってました。
    2022年9月24日
    面白かったです。登場人物が細い糸を手繰るようにルールを見つけていく様子もいいし、蘇生を繰り返す中で誰ひとり自分のパートナーを決して離さない展開としたこともスッキリして返って良かったです。その点と、登場人物がみな若いことで、全体的に少女マンガ的な雰囲気でまとまっていました。親子や中年夫婦の組み合せを入れて話を膨らませても良かったと思いますが、それではテーマがぼやけたかもしれないので、やはり、あくまで特殊な状況での10代の恋愛ストーリーで貫いて正解ですね。
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  • 薄桜鬼 真改【かきおろしイラスト付】

    にかわ柚生/オトメイト

    新撰組ファンのための作品ですね
    2022年7月18日
    油小路の変や近藤勇の襲撃など、史実のイベントを丁寧に拾って、その上でヒロインを上手に絡めていることから、いわゆるドリーム小説のような二次創作が好きで新選組のファンの人なら、ゲームを知らなくても楽しく読めると思います。独立した物語として伏線を回収したり起承転結をつけたり、ということは最初から視野に入れていない作品だと感じました。
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  • タコピーの原罪

    タイザン5

    わるいのは、大人。
    ネタバレ
    2022年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ しずかもまりなも、ひとつも悪くない。
    ラストシーンにそれが表されている気がしました。
    汚い大人たちのツケを子供たちが払わされている。それが世の中なのでしょう。
    自分の子供たちにだけは、こんな思いをさせたくない。歯を食いしばっても、何を捨てても、子供たちにこんな思いをさせない親でいることに、残りの人生を使いたいと思いました。だって現実にタコピーはいないから。そんなお話でした。
  • 終末のハーレム セミカラー版

    LINK/宵野コタロー

    女性が読んでもSFとして面白い。
    2022年1月8日
    「大奥」の男性視点で極端なバージョンですかね。残った男性が世界で数名というレベルなので、女性だけで構成された社会の中では男性との性的な関係そのものが非常にレアな特典であり、さらに現実の妊娠出産は夢物語に近いサクセスストーリーの類というのが社会の共通認識。だから数少ない男性には女性がこぞって群がるし、政府も美女を集めて子作りを全面的にバックアップする、というのはうまくできている設定です。妊娠すれば、以降の出産も子育ても政府の保護が受けられる上に自分の社会的ステータスが跳ね上がるわけですから、女性が並外れて積極的な態度で誘惑することに強い説得力があります。妊娠が絶対的に祝福されるというのは、ある意味で女性にとっても夢の社会です。……マンガとしては、実際に行為する肌色のシーンがもっと少なければ女性読者が増えると思うのですが、それだと逆に男性読者が減るのですかね……
  • カネが泣いている

    国友やすゆき

    深いです。
    2021年12月22日
    お金がすべてじゃない!というのは簡単ですが、お金がないと生活できないんですよね。
    お金を借りる人個々のエピソードも印象深かったですが、個人的に主人公の奥さんが特にポイントでした。上司に罵倒され部下に突き上げられて歯を食いしばって収入を維持してる旦那さんに「お給料減らさないでね。身体を壊さないでね。生活レベルが下がるのはイヤだもの、お願いね」と何の悪意もなく言えてしまう神経が凄いなあと。女から見ても、この奥さんを愛して守ろうと考えられる主人公は聖人の域ですね。夫にこんな思いをさせてまで裕福な生活をするなんて耐えられそうもないので、自分の夫にするのは真っ平ですが。
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  • 戦獄姫

    川崎三枝子

    SFとしても歴史ものとしても評価。
    2021年12月3日
    最初から最後まできっちり綿密に練られていて、よく作りこまれています。今川義元の姪の築山御前と、織田信長の長女徳姫、まさに嫁姑の最凶版です。
    小説の原作がついているのではないのですね。小説でも名短編になりそうです。
    普通の主婦がタイムトリップして戦国時代の姫君の中に入ってしまい現代と行ったり来たりする、という流行りのなろう系にも似たあらすじですが、史実を変えずに上手に結末に向かう流れは、ずば抜けた器用さを感じます。もっと読んでほしい!と思って満点をつけました。
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  • 拝札人 斬

    近藤崇/さいとう・たかを

    面白い!もっと続きが欲しい。
    2021年6月28日
    さいとうたかを作のコワモテの拝札人も好きですが、絵柄でこんなにキャラが変わるとは……
    涼しげな細面の美形で女子供に優しい拝札人は、魅力的この上ないです。
    とにかく女性受けする作品に仕上がってるので、表紙の絵を見て気に入った人は是非読んでみてください。
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  • 吾峠呼世晴短編集

    吾峠呼世晴

    全部連載してほしい!
    2021年5月27日
    全部が傑作。
    短編なんて殺生な・・・いっそ全部連載してください。
    鬼滅のもとになったという最初の話は世界観が少し違っていて、あれはあれで続き読みたくなる。主人公は炭治郎より義勇さんのイメージでしょうか?無惨のいない世界では、土着の鬼と鬼狩りは、どう決着をつけるのでしょう。他の短編も、主人公は一度読んだら絶対に忘れない、印象的な造形です。どれを連載しても次のヒット確実です。買って損はしないけど、一話読み終わるたびに、何でこれ続きないのー!?と絶叫してしまう一冊です。
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  • まんがで読む戦争悲話 戦火の中の子どもたち

    北川玲子

    祈りを込めて描かれた作品。
    2021年5月24日
    どちらかというと可愛いタッチで、戦争の恐ろしさ、悲惨さを正面からきっちり描き切っています。どの一作も、読んでいて居たたまれなくなるほどの理不尽な苦しみと悲しみに満ちています。それでも、その中にどの作品でも、互いに助け合い労わりあう人と人との絆、そして小さな救いを描きこんだことが読者の慰めになり、作者の祈りにも読める一作でした。満州からの引き上げや沖縄の話は、若い人にはもう知らない方も多いと思います。忘れないで、との願いを込めて、ぜひ多くの人に読んでほしいです。
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  • まだ、生きてる・・・

    本宮ひろ志

    ものすごい名作だと思う。
    2021年3月30日
    この作者のマンガは他にも読んでますが、これは他の作品とは哲学を共有しながらも一線を画した作品です。
    決して特別なヒーローではない、どこにでもいるような定年近い年齢の平凡なサラリーマンの、内に秘めた情熱と魂の輝き。
    心からすごい、と思うのが、客観的には社会的な敗者としか語れない主人公が、ひと欠片もみじめではない、一個の充実した人生として描かれていることです。一度しかない人生をこんなふうに送れるならそれもいい。読者にそう思わせてしまう説得力は、この作家の力量でしょうか。現実の社会を否定せず戦わず、静かに真っ向から向き合って、「うん、そうだね。でも、こんな生き方もいいと俺は思うよ」と作者が返した言葉のような作品でした。
    今こそ現代の若者に読んでもらいたいです。
  • 誰かが殺しにやってくる

    神代京子

    掘り出し物でした。
    2021年3月4日
    どの話もそこそこよくできていて、綺麗にまとまっています。ただ、最後から2つ目の「大切なともだち」は、頭ひとつ分抜きんでていました(なぜか目次から抜けているような?)。キャラ設定もストーリー展開も結末も、収録されている他の話より確実に一回り上です。そっちの話を本のトップにしても良かったのに、と感じました。難しい点としては、ターゲットの読者の年齢層ですね。ティーンの少女たちより大人に伝わる怖さですが、絵柄や見せ方は少女マンガなので。しかし前述の話だけでも読む価値はありです。
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  • 蛍火の灯る頃に

    竜騎士07/小池ノクト

    完成度が高い!
    ネタバレ
    2021年2月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 幾つもの伏線、絵本や一般知識で知ってる人なら見た瞬間にギクッとくるエピソード。キャラも一人ずつ作者の意図が書き分けられています。
    そして、この種類のパニックものに最も顕著に表れるのが作者の人間観ですが、この作者は、極限状態でも信じあい助け合って互いの手を離さない、人間の正の面を描くことを選びました。個人的に、そこがすごく好きです。
  • 忍者と極道

    近藤信輔

    凄い。説明できない面白さ。
    2021年1月17日
    漫画や小説は、あらすじで「面白そう」と感じるものと、実際に読んでみて初めて面白さが分かるものがあります。後者はキャラの魅力やストーリーの運び方、絶妙なテンポ、不思議な勢いで目が離せなくなるわけですが、本作は間違いなくそれです。無料版で1冊読んで、迷わず続き買ってしまいました。
    ……いや、あらすじも十分に斬新ではあります。忍者と極道の江戸時代から現代に至る戦い、という話は確実に生まれて初めて読みましたし、そこへ美少女アニメオタク要素が入るに至っては脳がスパークしそうになるレベルです。
    しかし、その設定を超えるキャラの魅力、セリフやキャラ名のセンス、シーン描写の迫力。
    読んでいて、笑えばいいのか、キャラに共感して切ない気分になればいいのか全く分からないのですが、とにかく無茶苦茶で面白い。
    続きもきっと買っちゃいます。
  • 銀牙~THE LAST WARS~

    高橋よしひろ

    読み続けて30年。
    ネタバレ
    2020年12月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 銀が幼犬で大輔が少年だった最初の作品から、現実ではずいぶん時間が経ちましたが、作中では大輔が青年になるくらいの時間経過ですね。
    登場時はコワモテだった秀俊先生も、いまや好々爺と化して奥羽軍の専属医師です。大輔と先生が何でもしてくれると信じて疑わない奥羽軍の図々しさも面白い。薬だって高いのに・・・
    そして今作最大のハイライト、熊と犬の間に立つ「通訳犬」の登場。
    ……今まで会話通じてなかったんかーい!と素で叫びました。銀たちと赤カブト普通に話してなかったか?と過去作を読み返してみたところ、確かにまともな会話が成り立っているシーンはなかったです。戦いの最中ですから、「許さない」とか「お前の最期だ」とか、互いに言いたいこと言ってるだけなんですね。あれ通じてなかったんですか・・・衝撃でした。
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  • 汝、隣人を×せよ。

    亜月亮

    名作!一読の価値あり。
    2020年12月28日
    説明文から「報復刑」を連想する方もいると思いますが、発想の違いが興味深い。
    「報復刑」が殺人で有罪判決を受けた者が対象であるのに対し、本作は刑法で加害者が裁けず現実では被害者が泣き寝入りするしかないケースのみが対象です。
    恨む相手がその罪で正規の刑に服した場合は報復できないことを明記して、イジメ、パワハラ、家庭内暴力、不倫などの傷つく側は精神が破壊されるほどのダメージを受けても加害者は現行法では罪にならないケースに焦点を絞ったところが「報復刑」と根本的に異なっています。
    きっちりとした「審査」があって、逆恨みや自分勝手な理由による利用も、服役した殺人者に対する報復も認めず、その狭間の「正当性はあるが現行法では裁けない」被害の救済を対象としたところに新しい面白さを感じました。
    もっともっと続きを読みたいレベルの作品ですが、面白さの絶頂で終わって読者に色々と想像の余地を残したところも含めて満点としました。
  • 本家のヨメ

    岡田理知

    ひと昔前の物語として、面白い。
    2020年12月19日
    時代劇とまでは言いませんが、
    「このころはそんな価値観だったのねえ」
    と距離を置いて眺める面白さですね。
    もちろん時代設定はそこまで昔ではないですが、場所を山村に設定したことで、描かれる価値観は相当古いものになっています。
    女性は嫁いで子を産むもの、夫の実家に入って家を継ぐもの、家族のために無報酬で無制限に労働するもの、それが女の幸せ。
    現代の若い女性には決して共感できない価値観の社会にも、周囲との相性と本人の生き方次第で幸せはあったのだ、と読みました。
    自分が老いたころには、若い人たちの価値観はどうなっているのでしょうか。それを思うと、自分もこの話の大姑くらいの長生きをしたくなりました。
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  • 聖母の鎖

    金子節子

    ずん…と胸に響いた。
    2020年11月18日
    男はいつまでも子供で父になりきれないのに、女は鬼と化しても魂が母であることから逃れられない。
    そんな解釈で人の"業"を描いた作品と感じました。
    題名通り、どこまでも父の影は薄く、母への思慕と母との茨の柵を描いた作品です。
    事件のそもそもの火種になった父親への恨みがヒロインにないのは、もとより父は娘にとってかけがえのない存在
    ではなかったからでしょうか。
    ヒロインの半生を貫く母への怒りは、かつて母だけが娘の世界の柱であり、信頼と愛情の礎だったことの裏返しと読めました。
    そして癒えない傷、埋められない溝があってなお、娘が最後に縋る相手は母で、母は娘の手を取った希望の持てるエンディングに、満点を。
    秀作です。
  • 報復刑

    トータス杉村

    お見事。
    ネタバレ
    2020年10月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 発想そのものはそこまで際立ってはいません。仇討ちが合法化された社会は実際に存在したこともあります(日本の江戸時代など)。システムは前提として、その状況下で生まれるドラマを丁寧に描いた手法もスタンダードです。
    ただ、どのエピソードもきちんと人間性を見据えてよく作りこまれており、むしろ奇をてらっておらず高い共感が得られる内容であるところに、満点。
    冤罪のケース、加害者家族と被害者家族が同一になるケース、システム自体が別件の復讐に利用されるケース、仇討ちをした人のその後など。
    どのエピソードも、きちんと考えて作られています。
    個人的にはもう少し救いの多い甘めの展開の方が好きですが、どんな報復をしても死者は戻らないという現実を前提にした話ですから、アンハッピーエンド傾向の方がリアリティがあるとも言えますね。
  • マジャン ~畏村奇聞~

    カミムラ晋作

    あえての満点。
    2020年9月22日
    結末がちょっと寂しかったのは他のレビュー通りですが、そこに至るまでの定番の面白さに、あえて満点をつけます。
    題材は麻雀ですが、キャラと展開は少年マンガの王道まっしぐら。
    普通の少年が突然放り込まれた非日常の戦い、敵と戦闘後に育む友情、覚醒する特殊能力、そして目指すラスボス。
    献身的な可愛いヒロインに生き別れの家族もついて、文句なしです。
    ジャンプに載せてもいいくらいのヒーロー物語が、麻雀・宗教・具体的な残酷描写の3要素で重たい雰囲気をまとわせているのが一興と感じる一作でした。
    いいね
    0件
  • 走馬灯株式会社

    菅原敬太

    これはすごい。
    ネタバレ
    2020年9月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 各個人の走馬灯を見せてくれる場所、という発想も新しいが、その発想だけの作品にせず、一話一話がしっかり個別のエピソードとして立っている。
    その内容も、ホラー、推理、サスペンス、感動系と多彩。
    個人的には、後半の「走馬灯株式会社のシステムとは」に踏み込む話より、前半の完全につながりのないオムニバスの方が光ってたと思う。
    読む価値ありの一作です。
  • Final Phase

    朱戸アオ

    感染の混乱の中で。
    2020年7月1日
    2020年7月。何年か先にこのレビューを読む人のために、年月を入れます。今、某ウイルスのために世界すべての国が混乱の渦に巻き込まれ、日本では最も感染者数の多い東京からは他県への帰省もかないません。最初にこの作品を見つけたときは安易に今の社会状況に便乗した安っぽい時事ネタだと思い込んで、怒りすら抱きました。発表が2011年と知った後の何とも言えないやるせなさは、筆舌に尽くしがたいです。現実になどなるはずのない物語としてこの作品を書かれた作者の方は、まさに現在の惨状をすべてそのままに描き出し、感染者やその家族や医療従事者の思いまでも的確に描き切ってしまっています。この話がほぼ現実になった世界に、実際に私たちは生きています。親しい人を失うことなく、現状が過去の思い出話となったころにまた、この作品を読み返したいと切に願います。
  • お父さんといっしょ

    おおにし真

    感動はしないかな。
    ネタバレ
    2020年6月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ やればできるなら、初めからもう少し頑張っていれば、息子から母親を奪わなくて済んだ、という後悔が全くない父親が、非常に自分勝手に見えました。
    実家を頼り託児所を探し、妻ひとりが苦しんでいるときはしなかったことを、自分のためならやれる男。
    妻は要らない子供の母親が要る、という理由で新しい女性を引っかけることを全く疑問に思わない男。
    子供が幼児のまま作品を終わらせているのもあざといですね。
    自我をもって視野が広がる年齢になった息子に実母のことを問われたら、この父親は何と答えるでしょうか。
    この作者の作品は好きな方ですが、これは嫌でした。
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  • 勝利の朝

    塀内夏子

    興味深くて、重い作品ですね。
    ネタバレ
    2020年5月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ スポーツ作品の印象が強い作者と思っていましたが、こちらは純然たる社会派の一作です。
    実際にこういうことは確実にあると思います。そして同時に、作中では悪役の刑事がラストでもらす本音も真実と感じました。警察官という仕事は、責任や負担の重さと給与額を対比させると、相当きびしい職だと思います。少なくとも、理想が一切ない人間が継続できる仕事だとは思えません。その中で、「最善を尽くした結果として」冤罪が生じ、さらにそれに抗する弁護士たちの存在までもが、社会が成立するための必然として描かれているようでした。
    良作です。
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  • 嫁姑の拳

    函岬誉

    清々しい嫁と姑。
    ネタバレ
    2020年5月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 格闘家同士の嫁姑、諍いも対話もすべてが拳。いやあ斬新です。
    仲良くケンカする系の嫁姑の話は他にもみたことがありますが、ここまで振り切ったのは初めてです。
    本格的な異種格闘技戦の様相を呈する戦いに、ルール(諍いには他の家族を巻き込まない、特に孫娘には絶対に気配も見せない)があり、お互いに決して破らないところも格闘家らしくて良いです。
    次巻も買おうかな。
    いいね
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  • 蘇生~野図部屋短編集~

    野図

    読みごたえがあって良かったです。
    2020年5月25日
    用済みになって打ち捨てられたヒーローの末路。犯罪被害者の感情。生き甲斐が失われた先の生。
    いずれも目新しいものはないですが、決して浅くはない立体感のある描き方で、十分おもしろかったです。
    いいね
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  • 伝奇絵巻 玉藻の前

    さちみりほ

    面白かったです。
    ネタバレ
    2020年5月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「玉藻の前」は既によく知られた題材ですが、この筆者の作風には、実によくあっています。
    人ならぬ絶世の美女と、人の男の、道ならぬ恋。
    もう少し長編で、ヒロインがどういう存在かとか、幼馴染の想いびとと敬愛する師匠の間での主人公の心の動きを掘り下げてみてほしかったとも思いますが、現状でもよくまとまっていました。
  • 幻想都市-サイコ・イリュージョン-

    瀬川乃里子

    独特の世界観がいい。
    ネタバレ
    2020年5月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 幼少時に途中だけ読んで気になった作品だったので、思い出補正があるかもしれませんが、よくできていると思います。
    特に、物事は裁判で白黒つけるのが当然の欧米の価値観に対し、弁護士なしの離婚が今でもざらにあるような日本独特の「共感」「同調」を超能力にデフォルメした手法は、鋭さが光りました。もっと長編にして掘り下げてほしかったくらいです。
    絵も綺麗だしキャラも立ってるし、よかったです!
  • 紅バラと白ユリ

    森園みるく/アリス文庫

    はー笑った笑った
    2020年5月13日
    心が疲れて落ち込んでいたときに何となく読み始めて、本当にぶふっと吹き出しました。
    このくらい振り切ってこそのギャグマンガですね。
    絵は同じ作者の他の重めの作品と同じく綺麗でセクシーなのに、これは隅から隅まで深刻なところがひとつもないです。
    頭からっぽにして、声立てて笑わせてもらいました。
    いいね
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  • WhiteTiger ~白虎隊西部開拓譚~

    夏目義徳

    面白かった。すごく。
    2020年5月3日
    いい大人で日本史は人並みに知っているつもりでしたが、若松コロニーの存在は、このマンガで初めて知りました。
    戊辰戦争後の会津の侍たちがどうなったかなど考えたことがありませんでしたが、こんな数奇な運命をたどった人々がいたのですね。
    ドラマチックな史実を土台にし、物語として十分に面白い作品に仕上がっていて、もっと知名度が上がってもいいのにと思います。
    うちの子供が小学校の高学年になったら読ませたいです。
    いいね
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