高校1年生のとき、まさにこの年齢前後の社会人男性を好きになったことがあって、よくわかる。気持ちは燃え上がってしまうけれど、用件作って押してみたけれど、難しいのは、互いの間に走るものを感じ取っても、大人ってその前にいろいろあること。漫画はうまくいくから代理体験で自分を癒す。でも二十代になってそういう年齢較差で知人が結婚している。
南塔子先生「ReReハロ」も思い出す位、こういう家事代行サービス業設定は一種のジャンル?というか、流行のようだ。
そして、借金まみれの親の代わりに子が働く、という設定も1ジャンル。「花より男子」だってそうだ。
更にいえば、稼得能力を持ってること自体に大人を感じるのであり、でも同年代と変わらぬ大人じゃない部分にも、乙女心発動する。歴史小説家というのもいいかも。言葉遣いが武家風で。高野苺先生「夢見る太陽」設定もまたこんな大人かわいい成分があった。お年頃には一定の需要がある。
読み手が年季が入っていると冷ややかに見てしまうのかもしれないが、少女漫画を読むときに想定読者年齢側の気持ちが理解できないと女性漫画に行ったほうがいいように思う。やはり対象年齢層が感じる作品でなくてはならない。
そんな意味で本作は、十代だったら夢設定な、親元にいない暮らし、素敵な人と同居の関係、年上の大人男性、こうしたある種の公式必須の要素を盛り込んでいて、絵もきれいとくれば人気の出ない訳がない。素敵だと感じて木曳野先生を見て想像を足して楽しんで、彼の心の動きを読んでみて味わった。主人公の気持ちは不自然ではないと私は感じる。ひとつ屋根シチュエーションは少女漫画が活用するドキドキのイベント。
清くても第三者に秘密の関係というのも使われる設定。
そういうのを好む読者が居る幾つかのパターンを組み合わせてポイントを攻めて突いている。そして、そんなポジションの「妙齢」男性キャラを「天然女殺し」的に描くことに成功していると思う。
私自身は、「シュガーズ」「ひるなかの流星」と読んできて、本作でやまもり先生の少女漫画家としての円熟を感じる。
暁の腰のラインだとか、ボサついた髪などの作りもいい。「汗がキレイ」もいい。
ふみも少女漫画主人公として大いに妥当だと思っている。14巻迄たっぷり使って描かれ番外編では脇キャラフォローが。ひるなかの流星番外編収録も歓迎。
現実的かどうか、はそこは見ちゃだめだと思う。