初めての作家さんでしたが、高評価を信じて大正解でした。あらすじもいくつかのレビューも読んで、ある程度予備知識を持った上で読み始めたのに、並行世界の展開に入る前から引き込まれていました。つまり特殊設定を抜きにしても充分な読み応えがある作品だと思います。でも“気づき“を得るために必要な設定だと思うし、よく考えられていて面白かったです。「優しさの種類」って、いくつもあって…一見、冷たいようで、厳しいようで、突き放されているように思えるものでも、思いやりやら先見やらを含んだものだと知ってしまえば切ない程に求めてしまう。そんな心の機微が伝わってきて読み応えがありました。ただの恋愛ものでもお仕事ものでもなくて、どちらも密接に関わってくるバランスの取れた作品でした。