獣人αと人Ωなためか番の設定が一般とされているものから異なり、相手にしか感じることのないフェロモン、ヒートなど存在感がなかったです。その辺りの設定は作家さん毎に異なるので、まぁそんなものかと思いました。オメガバースに限らずこれまで読んできた作品に比べ、恋情の切なさ、お互いの思いが通じないもどかしさ、晴れて思いを繋げた時の幸福感や高揚感など、抑揚が余りなく、足りない気になりました。また、内容から世界観、活字や文体の使い方などから官能や耽美を描こうとしているのではと匂わされたのですが、そこも薄かったと思います。可愛いΩが初恋の相手を一途に思って、またα側も同様に一途で大切で、2人の甘々でいちゃいちゃが多いのが好きな方にはよいと思いますが、ストーリー性や登場人物たちの感情の起伏、場面ごとにいかにその世界観へ感情移入ができるかを求む私には物足りない感が残りました。致す場面に艶をあまり感じませんでした。