この作家さんの作品は、美形なヒーローが御曹司であったり華麗な経営陣であったりと共通していますが、ヒロインの境遇がいろいろで面白く読んでいます。「イン獣愛~」「腹黒御曹司は~」「あなたのすべてを~」と、今作で4作目です。このなかで一番、ヒーローの性格や家族の経緯、それによる行動に共感できて、最終章のヒーロー版は引き込まれました。ヒロインの境遇もちぐはぐしていなくて、情緒にあふれていてセリフも良かった。私がこの作家さんを好きなのは、いつもヒーローの背景を当初からわかるように書いている点です。ヒロインの背負う葛藤はさまざまなので中盤以降まで隠されることもありますが、ヒーローの立場は濁らせない。後半になって、ほんとうは社長令息だったとか、どこぞの創業者の孫だったとか、まるで後出しジャンケンのようにヒーローを飾るような筋立てにしないところが潔くて好きです。4作品を読んでかなり満足しました。読後満足度は 1「イン獣愛~」 2「愛していると~」 3「あなたのすべてを~」 4「腹黒御曹司は~」 です。