シリーズ4作目。前回、起承転結でいうと1作めが起、2・3作めが承という感じと評価しましたが、我ながら上手く例えられたなと思いました。その流れでいうとこの4作目が「転」のようなお話でした。
シリーズものにありがちな、主人公を変えながら続いていくという面ももちろんありますが(というか読者もそれを求めてる)スケールとか世界観の広がりを見せることも出来ていたし、何よりもマッドクリークという町全体が分岐点に差しかかり、未来へ大きく舵をきったターニングポイントと言える巻だと思いました。
その一番の立役者であるラヴは、前作に出てきました。そんな引き継いだ流れ・前情報があるので、今までのクイックとつがった人間(ティム・マット)より断然飲み込みや理解力が高くて、かなり順応するのが早かった気がします。おかげで読者もその辺の「知らない」ことで起こるすれ違いにヤキモキしなくて済みました(笑)。それどころか、ラヴの一人犬種当てクイズ?に耽る様子が、哀愁を感じつつも可笑しくて笑ってしまいました。
あとは、犬から人になった「一代目」と言われるクイックの懸念事項について…少し考えれば思いつきそうな問題なのに、I〜3巻までまるで意識していなかったことが急浮上した瞬間はドキッとしました。その直後、サミーの事実が明かされた時はものすごくショックでした。
そんな重大な問題も種族の違いさえも乗り越える、ラヴの大きく深い愛に感嘆しかありません。その上、マッドクリークが抱えるコミュニティの限界にも身を挺して事に当たる姿勢に感動しました。
ラヴの崇高さ博愛・見識の広さとランスの為人が…対照的で、ちょっとアレでしたけど、最後には町を一番に考えて自分ともラヴとも折り合いをつける所は、やはり男前だなぁと思いました。次作で「結」となるか、まだまだ続くのか楽しみです。